この『有志による映画「ロード・オブ・ザ・リング」日本語字幕の問題点指摘一覧』は、FotR字幕抗議 で1281人の署名と共に日本ヘラルド映画株式会社に送付した一覧と同じ内容です。この一覧は、2002年 春、映画The Lord of the Rings -The Fellowship of the Ring-(邦題『ロード・オブ・ザ・リン グ』) 公開当時、ネット上で出た批判の集大成として、劇場版DVD用字幕マスター入稿までの時間制限 に迫られつつ蒐集され、サックビル=バギンズが提出したものです。個人の一貫した価値判断に基づい た取捨選択プロセスは経ていません。 改めて見直せば、当時の改善運動参加者としては手直ししたい気持ちもあります。この3年間で、字幕 に対する見方も変化しましたから、「★」のつけ方、すなわち優先順位付けや問題指摘のしかたは、今 になって見ると妥当性適切性に疑問なしとしません。しかし、あえて修正をほどこさず、このまま『歴 史的資料』として公開します。 この一覧作成当時、字幕への「抗議」や「意見」ではなく、「糾弾」が行われていました。この糾弾調 もこのまま公開します。当時の怒りの激しさは、署名者の数と並んで、あの字幕(※)がいかなる反応 を引き起こしたかを示すデータの一部であると思うからです。    ※    ForR字幕がどんな字幕だったか、参考資料はこちらもどうぞ    ロード・オブ・ザ・リング THE LORD OF THE RINGS 字幕問題に関する資料庫 (ar氏管理ページ)      http://www008.upp.so-net.ne.jp/pootarou/index.htm      誤訳の要約:劇場公開時の字幕について、どこがどう問題だったのか要約。      訂正字幕・比較一覧: 劇場公開時の字幕とVHS/DVD版の字幕の変更について。    誤訳の再英訳(ハーブ氏管理ページ)      http://herbs.tsukaeru.jp/english_top.html (いずれ余裕があったら、脚注をつけたり、新版・私家版バージョンも作りたいところではあります ---サックビル=バギンズ改め鉄の足ダイン、ハーブ、ゴン 2004/06/17記す) ------------------------------------------------------------------- ■有志による映画「ロード・オブ・ザ・リング」日本語字幕の問題点指摘一覧■ (個人住所氏名のみ削除してあります) 作成期間:2002/3/2〜2002/6/8 作成代表責任者:サックビル=バギンズ(本名) (住所は本書末尾に記載した) 本「有志による映画『ロード・オブ・ザ・リング』日本語字幕の問題点指摘一覧」 (以下略称「指摘一覧」)では、 1) ★★、★★★――明らかな(※注)誤訳箇所。(★三個は脚本自体の意図をねじ曲げている箇所) 2) ★――吹き替えと処理が違い、気になったところ、映画字幕として配慮不足ではないかと思われる所。 3) (?)、(または「***」)――はっきりと確認しきれなかった字幕、書き取り者(複数)により書 き取りが分かれた部分。  (プリントによる版違いの可能性も微妙に含まれる) 4) ※――この一覧作成のための文責者の確認事項。 5) (私訳)──文責者による代案。 6) (たけうち氏訳)──以下のURLより、   http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Kouen/9619/LOTR/lotrsub.html   管理者たけうち氏から許可を頂いた字幕代案。(秒数を考慮済み) 7) (他、翻訳で特に但し書きのないものは、有志複数の案をまとめたもの) 以上の分類で印付けを行っております。 英文脚本は海外で販売されているFotR脚本(おそらく公式と思われますが、既購入者も正式/ 非公式を 判断しかねるほど素っ気ない装丁との由)が当方宅に届いていないため、 「書き取り非公式脚本」を掲 載されている海外ファンサイト(複数)の内容に、当方を始めとした 日本人ファン(複数)の書き取 り、及びすでに上記販売脚本をご購入ずみの方の確認により作成して おります。 日本国内で公式脚本は販売されておりませんので、もし字幕・吹き替えに使用された正規脚本と 差異が ありましたら、それら書き取りが原因とご理解くださいますようお願い申し上げます。 ※注: この場合の「明らか」とは、「半世紀に渡り原作が愛読され、20年以上前から定着した邦訳もあり、ま た該当個所の映画の脚本(台詞)は原作から直接引用されているため、字幕翻訳者独自の解釈入る 余地 のないこと」を指しております。 文章の翻訳には翻訳者の解釈が必ず生じますが、この作品は半世紀に渡り世界中で研究されており、 「その一文に対する確定した回答がすでにある」状態です。 演出、事前資料、監督の発言などから、原作から引用された台詞が「明らかに原作とは違った意図を もって使用されている確固たる証拠」がないかぎり、「原作準拠の台詞に関する映画字幕翻訳者独自の 解釈」は、この作品の場合、存在しないと断言できるものと存じます。 ましてやその論拠が「字幕製作者の個人的イメージ」(以上の発言は、戸田奈津子氏のTV放映された講 演会を参考に致しました)のみであるならば、残念ながら本作品については論外と申し上げざるを得ま せん。 また本書面中、「この映画は現代物ではないので、この言葉遣いには問題がある」と指摘している箇所 について、「製作者側本来の意図」を以下に引用しておきます。これらはなにより優先されるべき「製 作者側の意図」であり、今回字幕製作者が「独自判断」で現代映画のように表現していることが、すな わち「製作者側の意図を無視した改竄」である大変強力な証明となります。 「ジャック(台詞・言語アドバイザー、アンドリュー・ジャック)によれば、映画で使うアクセントを 決めるのは、わたしたちのものではない時代と世界の物語が展開されていることを伝えるのが目的だと いう。『われわれは、現代の言語の影響を受けず、時代を感じさせない音を作りだそうとした。映画館 にやってきて、この世界に入り込んだ観客が、自分たちの世界を思い出さずにすむように』」 (角川書店「ロード・オブ・ザ・リング 公式ガイドブック」より引用) 文責:サイト管理人 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ■本編字幕 ---------- [語り手:ガラドリエル★] I amar prestar aen. /The world is changed. 世界は変わった han mathon ne nen. /I feel it in the waters. 水からそれを感じる han mathon ne chae. /I feel it in the earth. 大地から感じる a han noston ned gwilith. /I smell it in the air. 大気にその匂いがする Much that once was is lost. For none now live who remember it. あったものが失われた/それはもう 誰の記憶にも残っていない(※) ※台詞「憶えている者は残っていない」。 ただし吹き替えも「かつて存在したものが消えうせた。今は誰の記憶にも残っていない」。 ☆ここまでの台詞は原作の「王の帰還」中、エントの木の髭の台詞から引用(転用)されている。 -------------------------------- ++ 映画主タイトルが表示される ++ -------------------------------- It began with the forging of the great rings. すべては指輪の誕生ではじまった★ ★吹き替え「遠い昔。19の魔法の指輪が造られた」。逆に吹き替えが原作を読み込んでの意訳。 「the great rings.」の「s」が生かされている。 3 rings were given to the elves, immortal, wisest and fairest of all beings. 3つの指輪は”エルフ”へ/不死の命を持つ賢く美しい種族 7 to the dwarf lords, great miners and craftsmen of the mountain halls. 7つは”小人(ドワーフ)”の族長へ/鉱石採掘と細工物にすぐれた種族 And 9. 9 rings were gifted to the race of men, who above all else desire power. そして9つの指輪は”人間”に贈られた/彼らは何よりも 権力を欲する種族 For within these rings was bound the strength and will to govern each race. But they were all of them deceived. その指輪で各種族は自らを治める力を得たはずだった/ だが彼らは欺かれた For another ring was made. 指輪はもう一つあった In the land of Mordor, in the fires of Mount Doom, the dark lord Sauron forged in secret a master ring to control all others. モルドール国で…/火を吹く滅びの山で/ 冥王サウロンは人知れず他の指輪に勝る(※)指輪を造った ※「control」はあくまで「支配する」であって「勝る」ではない。物語の基調音が壊れている。 吹き替え「闇黒の王サウロンは19の指輪全てを操るひとつの指輪を造った」。 And into this ring he poured his cruelty, his malice, and his will to dominate all life. その指輪に彼が注いだのは彼の邪悪な残忍さ/全生物への支配欲 One ring to rule them all. ★★つまり全世界を支配する指輪だった ★★ ここは「一つの指輪はすべてを統べる(統べよ)」という、サウロンの台詞。 対応吹き替え「一つの指輪は全てを支配する」。こちらは正しい。 One by one, free lands in Middle Earth fell to the power of the ring. かくして―/中つ国(ミドルアース)の自由な大地は指輪の魔力に屈していった But there were some who resisted. あるものは―/抵抗した A last alliance of Men and Elves marched against the armies of Mordor. And on the slopes of Mount Doom, they fought for the freedom of Middle-earth. モルドールの大軍に対し エルフと人間の連合軍は/中つ国の自由を賭けて滅びの山の中腹で闘った★ ★ 厳密には的確ではない。「A last alliance marched against the armies of Mordor.」であり、 ここは長い攻防の揚げ句の最終戦の開始を示しているからである。字幕では戦いがこれ一つしか なかったように見える。 吹き替え「人間とエルフの連合軍はモルドール軍の侵攻に反撃。滅びの山の裾野で 中つ国の自由を賭けた戦いが始まった」。 Elrond: Tangado haid! Hado i philinn! /('Hold [your] positions! Fire the arrows!') (エルロンドの掛け声に対して日本語の吹き替えあり。字幕は確か無し。) 吹き替え(おそらく)「弓隊 用意! (不明)放てぇ!」。 Victory was near. But the power of the ring could not be undone. 勝利はもう目前/だが指輪の魔力は―/彼らを圧倒した Isildur: Father... (字幕OUT) It was in this moment, when all hopes had faded, Isildur took his father's sword. 全ての希望が失われたかに見えたその時/王子イシルドゥアは父王の剣を手に取った Sauron, the enemy of the free people of Middle-earth, was defeated. 自由を愛する種族達の敵(※) サウロンは敗北した ※「中つ国の自由な民」と「自由を愛する種族達」では、大きく意味が違う。 「中つ国の自由な民」の方が字数も少ない。 吹き替え「こうして、中つ国の自由の民の敵、サウロンは敗れ去った」。 The ring passed to Isildur, who had this one chance to destroy evil forever. 指輪はイシルドゥアの手に/それは悪を永久に葬る絶好の機会だった But the hearts of men are easily corrupted, and the ring of power has a will of its own. しかし堕落の道をたどるのが人間というもの/また指輪は自らの意思を持っていた It betrayed Isildur to his death. 指輪はイシルドゥアを裏切り死に導いた And some things that should not have been forgotten were lost. History became legend; legend became myth. And for two and a half thousand years the ring passed out of all knowledge. Until, when chance came, it ensnared a new bearer. 忘れてはならないこの教訓は忘却の中に埋もれた/歴史は伝説となり/伝説は神話となった/ そして2500年という歳月 指輪を知るものはなかった/しかしふとしたことで―/新しい持ち主があらわれた Gollum: My preciousss. 貴重なものをみつけたぞ! The ring came to the creature Gollum who took it deep into the tunnels of the Misty Mountains. And there it consumed him. 新しい持ち主”ゴラム”は―/指輪を”霧降り山脈”にある洞窟に持ちかえり/ その虜となりはてた Gollum: It came to me. My own, my love, my own, my preciousss. Gollum... おれのものだ/誰にもやらないぞ/おれの大切なもの/大切なの愛しいもの The ring brought to Gollum unnatural long life. For five hundred years it poisoned his mind. And in the gloom of Gollum's cave it waited. 指輪は彼に驚くべき長寿を与え/500年に渡って彼の心を毒し続けた/ そして暗い洞窟で 指輪は時の到来を待った Darkness crept back in the forest of the world. Rumour grew of a shadow in the east, whispers of a nameless fear. 森に闇が忍び寄ってきた/人々は恐れと共に東方の不吉な影を囁きあった And the ring of power perceived it's time had now come. ★★-1指輪の力に目覚める人々(または「指輪は時の到来を待った」)/★★-2その”時”がおとずれたの だ ★★-1 書き取りに異同があるため断定はできないが、前者(指輪の力に目覚める人々)であれば完全な 誤訳箇所である。 ★★-2 前半と絡んだ非常に単純な誤訳のように見える。「And the ring of power perceived. It's time had now come. 」と間違えた? 台詞、吹き替えとも「東の方 モルドールの闇で黒い恐怖が蘇ろうとしていた そして指輪はその時が 間近に迫ったのを感じ取っていた」。 It abandoned Gollum. But something happened then, that the ring did not intend. It was picked up by the most unlikely creature imaginable. 指輪はゴラムを見捨て―/指輪は彼から離れたが 思わぬことが起こった/ 実に似つかわしくないものが/それを拾ったのだ Bilbo: What's this? これは? A hobbit. Bilbo Baggins of the Shire. ”ホビットの庄(さと)”に住むビルボ・バギンズだった Bilbo: A ring. 指輪だ Gollum: Lost! My Precious is lost!!! なくなった/大切な指輪がなくなった! For the time would(will?) soon come when hobbits would(will?) shape the fortunes of all. ★★こうしてホビットがあらゆる種族の運命を左右することとなった ★★ 台詞書き取り(時制)に異同があるが、「would」でも「will」でも原文と時制のずれがある。 台詞「やがてホビットがあらゆるものの運命を決める時がやってくる」。 The Shire 60 years later…… それから60年後の”★ボビット庄(シャイア)” ★ 多くの映画館で、「ボ」ビット庄と誤植された版が上映されている。修正されている版も確認されている。 (文責者も確認済) ------------------------------- ++ サブタイトルが表示される。++ ★★吹き替え版には「旅の仲間」と日本語が入るが字幕版には入らない。 ------------------------------- ★★ なぜ字幕版に限って大事な「旅の仲間」という副題=三部作と一目見てわかる情報が 割愛されているのか理解できない。 巷間には、「より多く上映される字幕版に仕込んだ意図的な三部作隠しであろう」という意見さえあった。 ■ホビット村------------------------------- Gandalf: The road goes ever on and on, Down from the door where it began, …… どこまでも どこまでも 続く道/ 家を出てはや幾月―/目で追っても 道の先は霞んでる Frodo: You're late. ★遅い! ★ 後述する「口調の統一」から述べれば、ここも「遅刻です」などを推奨致したい。 また「遅刻ですよ」「魔法使いは遅刻せん」というやりとりは、エルロンドの館での再会に掛かっている。 吹き替え「遅いじゃないか」。 Gandalf: A wizard is never late, Frodo Baggins. Nor is he early. He arrives precisely when he means to. 魔法使いは遅れん/ 早すぎもせん 思った通りの時間につく Frodo: It's wonderful to see you, Gandalf! お久しぶりです ガンダルフ Gandalf: You didn't think I'd miss your uncle Bilbo's birthday? おまえの義父(とう)さん★の誕生日だろ? ★ たしかに養父でもあるが……。吹き替え「ビルボおじさんの誕生日を忘れるか」。 Frodo: What news of the outside world? Tell me everything. 外の世界の様子は?(※) ※吹き替え「外で変わったことは? ぜーんぶ教えて」。 字幕は後半台詞翻訳落し。 Gandalf: Everything? You're far to eager and curious for a hobbit. Most unnatural... Well, what can I tell you? Life in the wide world goes on, much as it has this past age. Filled with its own comes and goings, scarcely aware of the existence of hobbits. For which I am very thankful. ★おまえはホビットのくせに何でも―/知りたがる/何を(←から?)話そうか?/ 世の中は今までどおりの暮らしを続けておる/ 日々に追われホビットの事を気にする者もおらん/ 喜ばしいことだがね ★ 吹き替え「全部だと? ホビットにしては欲張りじゃの だいぶ変わっとる」。 字幕はことあるごとに「ホビットのくせに」とガンダルフが侮蔑的で、解釈としておかしい。 Hobbit: Look! It's Gandalf! Gandalf: Ooh - The long expected party. 待ちわびてた祝いだな Gandalf: How is the old rascal? I hear it's going to be a party of special magnificence. あいつは元気か?/盛大な祝いと聞いておったが Frodo: You know Bilbo. He's got the whole place in an uproar. この通り盛りあがってます(※) ※意訳。個人的に許容範囲。 吹き替え「ピンピンしてます みんなも盛り上がってるし」。 Gandalf: Now, well, that should please him. 奴は大喜びだな Frodo: Half the Shire's been invited! シャイア中から客が★ ★ 台詞「庄の半分が招かれていますよ!」。 吹き替「里の半数が集まるんです」。 Gandalf: Good gracious! Frodo: He's up to something. ビルボは何か計画を(※) ※吹き替え「何かありそう」。 Gandalf: Hmm... Frodo: All right then, keep your secrets. Before you came along, we Bagginses were very well thought of. 知ってるんでしょ/平凡な暮らしの彼に(※) ※秒数の関係かもしれないが相当な意訳(省略)。 台詞「いいですよ、内緒にしておいても。あなたが来る前、我々バギンズ一族は大変評判が 良かったんですけどね」。 吹き替え「知ってるくせに とぼけないで あなたが来る前のバギンズ家は平和だった」。 Gandalf: Indeed. (※) ※字幕OUT。「そうかね」「確かにな」程度の相槌。 Frodo: Never had any adventures or did anything unexpected. あなたが冒険を教えた(※) ※同前。台詞「絶対に冒険はしなかったし、突拍子もないことも一切しませんでしたよ」。 吹き替え「冒険なんてものには縁がなかったし」。 Gandalf: If you're referring to the incident with dragon, I was barely involved. All I did was give your uncle a little nudge out of the door. ドラゴンのあの一件ならわしは無関係だ/ 奴をちょっとそそのかしただけだ(※) ※同上。台詞「竜の一件なら、わしはほとんど関わっとらんぞ。わしは奴の扉をちょいと ひと突きしただけじゃ 」。 吹き替え「ちょいと戸口でビルボのひじをつついただけだ」。 Frodo: Whatever you did, you've been officially labelled a disturber of the peace. 村の平和を乱したことはたしかですよ★ ★ 意訳(飛躍)しすぎて意味が違う。台詞「何にせよ、あなたはもう平和を乱す人(≠疫病神)って 言われていますよ」。 吹き替え「どのみちあなたにはもう平和の壊し屋ってレッテルが貼られちゃってますよ」。 この挿話が、冒頭のガンダルフの到来を見て顔をしかめるホビット婦人に繋がっている。 字幕では関連が消えてしまう。 Gandalf: Oh, really? なるほど Hobbit kids: Gandalf! Gandalf's here!! Oh! Gandalf! GanDALF! ガンダルフ!花火を見せて Frodo: Gandalf - I'm glad you're back. ガンダルフ/★★-1ようこそ Gandalf: So am I, dear boy. So am I. ★★-2わしもうれしい/わしもうれしい ★★1-2 下記の「わしもうれしい」と合わせると違和感が出る。文責者自身も、 一瞬「何のことだろう?」と観賞を阻害された。 原文の「お戻りになって嬉しいです」→「わしも嬉しい」で正しい会話となるが、 「ようこそ」→「わしもうれしい」では、互いの台詞が日本語としてかみあっていない。 吹き替え「ガンダルフ また会えて良かった」「わしもじゃ フロド そうとも」。 "no admittance except on party business" (ビルボの家の門の但し書き) 「祝宴の用事以外はおことわり」 Bilbo: No thankyou! We don't want any more visitors, well wishers, or distant relations! 帰ってくれ!/祝いの客(※)や親戚は帰ってくれ ※「祝いの客」ではなく、「お祝いだろうが親戚だろうがお客はごめんだ!」。字幕的許容範囲だが、 「祝いの客も親戚も帰ってくれ」のほうが自然。 吹き替え「帰ってくれ! 客は一切お断り! お祝いだろうが親戚だろうが駄目だ!」。 Gandalf: And what about very old friends. 古い友だちではどうだね Bilbo: Gandalf? ガンダルフ? Gandalf: Bilbo Baggins ビルボ Bilbo: My dear Gandalf! ようこそガンダルフ Gandalf: Good to see you. One hundred and eleven years old. Who would believe it? You haven't aged a day. それで111才とは信じられん/ あのころのままだ★ ★ 直訳及び吹き替えの「ちっとも老けてない」の方が自然。「あの頃」が「どの頃」なのか、 前後の台詞を考えても解らない。 (原作既読者にさえもわからない!) Bilbo: Come on, come in. Welcome, welcome. さあ、中へ!/さあ どうぞどうぞ Bilbo: Tea? Or maybe something a little stronger. I've got a few of bottles of the old Wineyards left. 1296. Very good year. Almost as old as I am. It was laid down by my father. What's say we open one? Hey? お茶を?/それとも酒?/1296年もののワインが何本か残っています/(※) いい年で私と同じくらい古い/ ★親父が買いこんだワインです/一本あけましょうか? ★吹き替え「親父がボトルに詰めたものだ」。「laid down」自体は「横たえた」つまり 「手に入れた」という意味にしかならないので、「買込んだ」も「ボトルに詰めた」も、 解釈としては成立する。(どちらも同格の意訳であり、どちらも誤訳とは言えない) ※「オールド・ヴィンヤード」落ち。個人的には(字数的に)許容範囲。 Gandalf: Just tea, thankyou. Ohh... お茶だけでいい Bilbo: I was expecting you here last week! Not that it matters - you come and go as you please. Always have done and always will. You caught me a bit unprepared, I'm afraid. We've got some cold chicken and pickles... There's some cheese - oh no, it won't do! There, we've got rasberry jam, and apple tart... Not much for after, though - oh, no! We're all right, I have some cake. 先週あらわれると/だがあなたは気ままだから/ 何も用意がない/冷えたチキンにピクルス/ このチーズはよくない/他に何かデザートがあったかな/ラズベリージャムにアップルタート★/ そうだ スポンジケーキ(※) ★ 「アップルタルト」に修正されている版も複数映画館で確認されている。 ※大量に刈り込んである字幕だが、ここは非常に早口(=秒数が少ない)なので理解できる。 台詞ピクルスより前半「先週来ると思ってたんですよ! だからどうってことはありませんがね。 あなたは来たいように来て去っていくから。今までもそうだったし、これからもね。 準備がちょっと出来ていないところを見つかった。申し訳ない」 吹き替え「先週来ると思ってたよ。だがあんたならいつきてくれても大歓迎だがな。 用意が出来てなくてすまんな。コールドチキンとピクルスしかない。そうだ、チーズがあった。 こいつは駄目だ。おお! そうそう、ラズベリージャムとアップルパイもあるな。待ってくれ。 他に何か、ああそうだ、こいつがあったか。スポンジケーキだ」。 "The Lonely Mountain" (地図が画面に映るとき「はなれ山」の字幕。) Bilbo: I can make you some eggs if you li-- Ganda- Gandalf? 卵を焼いて…/ガンダルフ Gandalf: Just tea, thankyou. お茶でいい Bilbo: Oh, right. You don't mind if I do, do you? お茶ね/腹ぺこで Gandalf: No, not at all. 構わんよ Female Voice: Bilbo! Bilbo Baggins. ビルボ!ビルボ・バギンズ Bilbo: I'm not at home! I've got to get away from these confounded relatives, hanging on the bell all day, never giving me a moment's peace. I want to see mountains again, mountains, Gandalf. And then find somewhere quite where I can finish my book... Ooh - tea! 居留守を!/★★親戚だと言って次から次へと挨拶に来るんです/ また山を見たい あの山々を!/ あそこで静かに本を書き上げたい(※)/お茶か! ★★ 「親戚だと言って挨拶に来る」のではなく、本当の「やっかいな親戚がひっきりなしに 押しかけてきている」箇所。 (ドアを叩いているのは一番近い相続人のロベリア) 吹き替え「あの根性曲がりの親戚ときたら、一時たりとも私をそっとしておいてくれん。 もう一度山に戻りたい。山だよ、ガンダルフ。静かな場所を見つけ、そこで本を書き終えたいんだ。 お! お茶か」。 ※「本を書き上げられる静かな場所を見つけたい」。個人的には許容範囲の圧縮。 Gandalf: So you mean to go through with your plans? じゃ 計画どおりに? Bilbo: Yes, yes, it's all in hand. All the arrangements are made. ええ 準備は整いました Bilbo: Oh, thankyou. Gandalf: Frodo suspects something. フロドは感づいておる Bilbo: 'Course he does. He's a Baggins! Not some blockheaded Bracegirdle from Hardbottle. 利口な子ですからね/★その辺のボンクラとは違う ★ 台詞「あの子はバギンズですからね! のろまなブレイスガードルやハードボトル家とは違いますよ」。 両家ともバギンズ家の親戚。家系図をことのほか喜ぶホビットらしさが割愛されている。 「あの子はバギンズですからね!」だけのほうが、むしろ英台詞との違和感を感じずに済むと 思われる。 吹き替え「当然だよ。バギンズの家系だ。ブレイスガードル家のぼんくらとは出来が違う」。 Gandalf: You will tell him, won't you. 打ち明けるのだろう? Bilbo: Yes, yes. もちろん Gandalf: He's very fond of you. 君を好いとる Bilbo: I know. He'd probably come with me if I asked him. I think in his heart, Frodo's still in love with the Shire. The woods, and the fields, little rivers. I'm old, Gandalf. I know I don't look it, but I'm beginning to feel it in my heart. I feel thin, sort of stretched, like butter, scraped over too much bread. I need a holiday. A very long holiday. And I don't expect I shall return. In fact I mean not to. 知ってます/頼めば”一緒に行く”と/だが あの子はこの土地を愛している/ ここの畑と野原/―清らかな小川/私は年老いた/ 年(とし)に見えなくとも 私は老いを感じるんです/ 気力が薄れていく/★-1それを―/★-2無理に引き伸ばしてるんです/ 休みが欲しい それも長い休みが/戻らないでいい休み/そう 戻る気はない ★1-2 字幕前文節に「気力が薄れていく」ともあり、この節は、台詞または吹き替え準拠の 「パンに塗ったバターみたい」で問題はないと思われる。 (食物に例えるところにホビット族らしさが出ており、ここは愛読者にも有名な台詞)。 吹き替え「知ってる。行くかと聞けばついてくるだろう。だがフロドの心は里への愛に満ちている。 森や草原それに小川。私も年をとったよ。外見はともかく心で老いを感じるようになった。 気力が、なんだ、薄っぺらになったというか、パンに塗ったバターみたいになった。休みが欲しい。 長い休暇が。行けばもう戻れないだろう。戻るつもりもないが」。 ■袋小路屋敷の前で---------------------------- Bilbo: Old Toby. The finest weed in the south farthing. この一服…/村自慢のパイプ草です★ ★ 吹き替え「オールドトビイ(印?)だ 南の郷一のパイプ草です」。字幕向けに短縮するなら、 「トビイ爺印/南庄一番のパイプ草です」(文責者試訳)などを推奨する。 Bilbo: Gandalf, my old friend. This will be a night to remember. わが友ガンダルフ/忘れられぬ夜になりそうだ ■誕生日祝い--------------------------------- Bilbo: Lovely to see you, welcome, welcome! ファティ・ボルジャー!/楽しんでくれ Frodo: Go on, Sam, ask Rosie for a dance. サム/ロージーと踊れよ Sam: I think I'll just have another ale. もう一杯ビールを Frodo: No you don't! 誘えよ/行け! Bilbo: So there I was, at the mercy of 3 monstrous trolls. And they were all arguing amongst themselves about how they were going to cook us. Whether it be turned on a spit, or whether they should sit on us one by one, and squash us, to jelly. 信じられるか?/ 恐ろしい巨人(トロール)が3人 目の前で言い争っていた/我々をどうやって/料理して食おうかと/ 丸焼きにするか/潰してミンチにするか Bilbo: And they spent so much time arguing, the whether to's and the why fore's that the sun's first light crept over the top of the trees -poof- そんな言い争いをしているうちに/夜明けの光が射し込み… Bilbo: And turned them all to stone! 奴らは石になっちまった Pippin: Quick! 急げ! Gandalf: Oh! Off we go! 上がったぞ! Merry: No, no, the big one, big one. デカいのを Pippin: It's done Merry: You're supposed to stick it in the ground. ここで?★★-1 Pippin: It is in the ground. 言い出しっぺはおまえだ★★-2 Merry: Outside... ★★-3 Pippin: It was your idea! ★★-4 ★★1-4 1-4の台詞に対し「言い出しっぺはおまえだ」が延々表示されるために、字幕と台詞が完全にずれて、 台詞「お前が地面に刺すんだ」「刺さってるよ」「外だってば!」「刺せって言ったのお前だろう!」が 掴めない。 そのため、一連のメリーとピピンのやりとりが、場面は至って単純なのに、不自然で理解しにくい。 (字幕翻訳者が「字義圧縮」をかけたことは理解できるが、字幕がコメディ場面を殺している以上、 失敗である) 吹き替え: メリー:それじゃないもっとでかいのだ!おおう! メリー:ついた!おまえが持ってろよ! ピピン:おまえが持て! メリー:おまえが持てよ! ピピン:言い出しっぺだろ? Frodo: Bilbo, watch out for the dragon. ビルボ!/ビルボ! ドラゴンだ Bilbo: Dragon? Nonsense, there hasn't been a dragon in these parts for a thousand years! ドラゴンだと?/★★1000年現れておらんぞ ★★ 完全な誤訳(恣意的訳落し)。ビルボはこの物語のわずか60年前にドラゴンと遭遇しており、 「ここらでは」(in these parts)を落とすと、本作にも登場する「ホビット」の物語と 矛盾してしまう。 吹き替え「ドラゴン?ばかな この土地には千年も姿を見せとらん」。 Hobbits: oh! Merry: That was good! やった! Pippin: Let's get another one. もう一発 Gandalf: Meriadoc Brandybuck and Peregrin Took. I might have known. ★1メリー・ブランディバッグ ★2ピピン・トック/このいたずらものめ(※) ★1-2 本名が長いこと、日本人向けに愛称優先で省略したのは理解できるが、「Took」が本個所のみ 「トック」、別の個所では「トゥック」になっており、統一されていない。 (但し「トゥック」に修正されている版の目撃証言もある) ※吹き替えは「やはりおまえらか」で、より「既知の仲」だと解る。 The hobbit crowd : Speech! Speech, Bilbo! Speech! Speech! ビルボ スピーチを! Frodo: Speech! スピーチ! Bilbo: My dear Bagginses and Boffins! Tooks and Brandybucks! Grubbs! Chubbs! Hornblowers! Bolgers! Bracegirdles! Proudfoots! (※) バギンズ家 ボフィン家/トゥック家 ブランディバッグ家/ グラブ家 チャッブス家/ホーンブロワー家/ボルジャー家/ブレースガードル家/プラウドフット家! Proudfoot: Proudfeet! プラウドフィート!(フィートに傍点) Bilbo: Today is my one hundred and eleventh birthday! Alas. Eleventy one years is far too short a time to live amongst such excellent, admirable hobbits. (※) I don't like half of you half as well as I should like, and I like less than half of you half as well as you deserve. I er ... I have things to do. I've put this off for far too long. I regret to announce this is the end. I'm going now. I bid you all a very fond farewell. Goodbye. 今日は私の111回目の誕生日だ/ すばらしい仲間と暮らすと――/111年はすぐ過ぎる/(※以下) 諸君とは浅からぬ仲/その仲は仲として/もはやこれまで/ ★★-1だが私には―/―なすべきことがある/★★-2今まで出来なかった/ 残念だがこれが最後だ/★★★私は消える/君らと別れる時がきた/さよなら ※台詞「私は皆さんのうち半数の方々に対しては、抱いてしかるべき好意の半分しか抱いて おりません。また半数以下の方々に対しては、皆さんに値する好意の半分しか抱いておりません」。 秒数制限を考慮した場合、元の台詞が「客を煙に巻くため」であるゆえ許容箇所ではある。 ただしビルボの性格が必要以上に悪く見える訳であり、字幕では丸ごと割愛した方が害は 少ないのではないか。 秒数計測済み字幕代案としては、以下を掲載する。 「諸君の半分は好意を抱いても/よく知らないし- /好意に値する者は/半分しか知らない」 (たけうち氏訳) 吹き替え「諸君の半数に関しては知りたいと思うことの半分も知らぬし あってしかるべき好意も抱 いとらん」。これは吹き替えでこそ可能な台詞処理。 ★★1-2 文として書き出せば、「だが私にはなすべきことがある。今まで出来なかった(事だ)」という 文章だと解るが、画面では「だが私には」と「もはやこれまで」のつながりが非常に分かりにく、 続いて「今まで出来なかった」(原文は「引き延ばしていた」)が表示され、台詞として 理解できなくなっている。 この台詞の意図は「お客を煙に巻く演説」であるが、字幕は「日本語として文意不明」であり、 多大に修正の余地がある。 字幕代案 「私には- /するべき事がある/先延ばしすぎた/残念ながら これで終わりだ /私は行く/ 皆さん ごきげんよう /さようなら 」 (たけうち氏訳) ★★★ 「姿を消すことで驚かせる」のに、「I'm going now.」(私は行きます)という台詞に対し自ら 「消える」と言ってしまっては、場面の意味が完全になくなってしまう。 吹き替え「いままでずっと引き延ばしてきた 最期に 誠に残念ではあるが 行かねばならん  諸君にさよならを言わせてくれ さよなら」。 ■袋小路屋敷---------------------- Gandalf: I suppose you think that was terribly clever. うまくやったつもりか? Bilbo: Oh, come on Gandalf, did you see their faces! ガンダルフ 連中の顔を見ました? Gandalf: There are many magic rings in this world, Bilbo Baggins, and none of them should be used lightly! ★大切な魔法の指輪を軽々しく扱ってはならん ★ 原文は「(この)魔法の指輪を軽々しく扱ってはならぬ」ではなく、「どの魔法の指輪も軽々しく 扱ってはならぬ」となっている。 冒頭で詳細に説明されていたように、この世界には20個の「魔法の指輪」が存在しており、 一見些少ながら、実は世界の奥行きが大きく削除されている。 吹き替え「この世に魔法の指輪は数多くあるが どれ一つとして軽率に扱ってはならん」。 Bilbo: It was just a bit of fun... Oh, you're probably right, as usual... 驚かせたくてね/あやまります/あなたは正しい Bilbo: You will keep an eye on Frodo, won't you?   フロドを頼みます Gandalf: Two eyes, as often as I can spare them. 二つの目で出来る限り見守ろう Bilbo: I'm leaving everything to him. ここの物は彼に Gandalf: What about this ring of yours, is that staying too? あの指輪は置いて行くんだろ? Bilbo: Yes, yes. It's in an envelope over there, on the mantlepiece... No, wait it's - here in my pocket. Why - isn't that - isn't that odd, now. Yet after all that, why not. Why shouldn't I keep it? もちろん/封筒に入れて暖炉の上に/ いや 待ってくれ/ポケットの中だ なぜこんな所に/ ★-1だがこれは私の物だ/★-2私の物だ ★1-2 唐突(断定的)すぎる。 台詞・吹き替え「考えてみれば、私が持っていたほうが…」。 ここでいきなり「私の物だ」と断言したら、 次の「Well no... And yes. 」が無意味になる。 Gandalf: I think you should leave the ring behind, Bilbo. Is that so hard? 指輪を置いていくのがいやなのか? Bilbo: Well no... And yes. Now it comes to it, I don't feel like parting with it. It's mine! I found it! It came to me! まさか/そう イヤだ/放したくない Gandalf: There's no need to get angry. 怒るな(※) ※吹き替え「怒ることはあるまい」。 Bilbo: Well if I'm angry, it's your fault! ... It's mine. My own. My precious. 怒るさ/私の指輪だ―/私が見つけた/愛しい私の指輪 Gandalf: Precious? It's been called that before, but not by you. 愛しい?/前にも同じ事を言った者が Bilbo: Oh, what business is it of yours what I do with my own things?! 指図はやめてください Gandalf: I think you've had that ring quite long enough. それを手放す時だ Bilbo: You want if for yourself!! ★自分の物に? ★ 吹き替え「あんたが欲しいんだろ!」。 今回の字幕に散見される、「省略しすぎて却って観客が躓く字幕」の見本。 文責者も「日本語字幕を理解しようとして」、思考が一瞬停止した。 Gandalf: BILBO BAGGINS! DO NOT TAKE ME FOR SOME CONJUROR OF CHEAP TRICKS! I AM NOT TRYING TO ROB YOU!! I'm trying to help you. All your long years, we've been friends. Trust me, as you once did, hmm? Let it go. 何を言う! ビルボ・(バギンズ)/このわしをケチな泥棒扱いするではない/ わしが指輪を盗むとでも?/おまえを助けたいのだ/ わしらは昔からの古い友達だ (わしを信頼しろ)/指輪を手放せ Bilbo: You're right, Gandalf. The ring must go to Frodo. It's late, the road is long... Yes, it is time... そうします/指輪はフロドに/遅くなった 道は遠い/出発します Gandalf: Bilbo. The ring is still in your pocket. ビルボ/指輪はポケットの中だぞ Bilbo: Oh - yes. I've thought up an ending for my book. "And he lived happily ever after, to the end of his days" 本の締めはこうする/”彼はこの世を去るまで幸福に―”/”暮らした” Gandalf: And I'm sure you will, my dear friend. そのとおりになるだろう Bilbo: Goodbye Gandalf. では これで Gandalf: Goodbye, dear Bilbo 元気でな 我が友ビルボ Bilbo: The road goes ever on and on, …… 道は続くよ どこまでも Gandalf: 'Till our next meeting. またいつか会おう Voice of Bilbo: It's mine. My own. My precious おれの指輪だ おれのだ ★★愛しいおれの指輪 ★★ ここで引用されている場面のビルボの台詞字幕は「私の指輪だ―/私が見つけた/愛しい私の指輪」。 「ガンダルフが思い起こしているゴクリ(ゴラム)の台詞と間違えて字幕をつけた」ように思われる。 吹き替え「私の指輪、私だけの愛しいひと」。 Gandalf: Riddles in the dark... 発端は暗闇の謎問答(※) ※吹き替え「ゴラムとのなぞなぞか」。この意訳は個人的には許容範囲。 Frodo: Bilbo! Bilbo! ビルボ! Gandalf: A precious... 愛しい指輪…/愛しい指輪(※) ※吹き替え「いとしいひと いとしい…」。 Frodo: He's gone, hasn't he? 行ってしまった? Frodo: He talked so long about leaving. I didn't think he'd really do it... Gandalf? 口癖のように言ってたけど/本当に出て行くなんて Gandalf: Bilbo's ring. He's gone to stay with the elves. He's left you Bag End. Along with all his possessions. The ring is yours now. Put it somewhere out of sight. ビルボの指輪だ/彼はエルフのところへ行った(※)/ ★★それをお前にと/ここの物も/指輪はお前のものだ/ 人目につかぬところへ ※吹き替え「あいつはエルフたちと暮らす」。 ★★ 「お前にこの屋敷を」(He's left you Bag End)が、指輪だけを指している訳文になっており、 後続の「指輪はお前のものだ」と重なっていいる。 吹き替え「この家をおまえに残した 家財も全てじゃ 指輪もお前のものだ」。 Frodo: Where are you going? どこへ? Gandalf: There are some things that I must see to. 用事がある★★ ★★ 台詞・吹き替え「確かめねばならんことがある」。ただ「用事がある」訳ではない。 Frodo: What things? どんな Gandalf: Questions. Questions that need answering. いろいろだ/片付けねばならぬ★★★ ★★★ 台詞「答えだ。答えを知らねばならん」。ここは「ガンダルフが『これはあの一つの指輪ではないのか?』 とついに疑って立ち上がる」重要な場面であり、「片づけねばならぬ」で片づけられてはかなわない。 吹き替え「答えを知らねばならん」。 Frodo: You've only just arrived. I don't understand. 着いたばかりなのに もう?★-1 Gandalf: Neither do I. Keep it secret. Keep it safe(secret?). ★-2仕方がない/指輪を―/守るのだぞ ★1-2 「I don't understand.」(吹き替え「わけがわかんない」)「Neither do I.」(吹き替え「わしもじゃ」) のやりとりが抹消されており、「ガンダルフ自身も”今”驚いている」ことが消去されている。 Voice: Shire! Shire! Baggins! シャイア! バギンズ!(※) ※吹き替え「ホビット! バギンズ!」。「郷(さと)」を日本語台詞として回避した上手い処理。 ■ミナス・ティリスの書庫で------------- Gandalf: The year 3434, of the second age. Here follows the account of Isildur, high king of Gondor, and the finding of the ring of power. ”It has come to me, the one ring, which shall be an heirloom of my kingdom. All that will follow in my bloodline shall be bound to its fate, for I shall risk no hurt to the ring. It is precious to me, though I buy it with a great pain... The markings upon the band begin to fade. The writing which at first was as clear as red flame, has all but disappeared, a secret now that only fire can tell. " "中つ国第2紀3434年/★ゴンドール国の王子イシルドゥアが伝説の指輪を手に入れた"/ 「私が指輪を見つけた」/「これぞ私の王国を継ぐ者への宝物」/「大切に守り」 「代々の子孫は指輪の定めた運命に従うべし」/ 「多大な犠牲を払って」/「手に入れた大切な宝だ」/「指輪には文字が刻まれていたが」/ 「かつて炎のように踊っていた文字は薄れて」/「今は火の力を借りて秘密を語る」 ★ 厳密には不注意な誤訳。台詞「…Isildur, high king of Gondor」とあるように、前王エレンディルは 冒頭のダゴルラドの合戦で討ち死にし、この文書が書かれた時点では、イシルドゥアがゴンドール王 である。字幕全般に漂う「やっつけ仕事」感の好例。 Rider: Shire. Baggins シャイア バギンズ! There's no Baggins 'round here. They're all up in Hobbiton. That way... バギンスはホビット村だよ/あっちだ ■ホビット村(緑竜亭前)---------------- Rosie: Good night 字幕なし Sam: Good night おやすみ Frodo: Good night, Sam おやすみ、サム Gandalf: Is it secret? Is it safe? 指輪は? 無事か? Frodo: Ah. 字幕OUT Frodo: What are you doing? ★★何する! ★★ フロドの丁寧語が理由もなく崩れている。あまりに唐突で違和感がありすぎる。 吹き替え「何をするんです」。 Gandalf: Hold out your hand, Frodo. It's quite cool. 手を出せ フロド/熱くない★★ ★★ まるであっという間に指輪が冷めたような字幕で、ガンダルフの芝居まで陳腐に見えてしまっている。 実際には、暖炉の火ぐらいでは物理的に熱くならないことを示している。私的代案「熱くはならん」、 または「冷たいままだ」(たけうち氏訳)。 吹き替え「手を出してみよ フロド 熱くはない」。 Gandalf: What can you see? Can you see anything? 何が見える? 何か見えるか? Frodo: Nothing. There's nothing. 何も/何もない Frodo: Wait - there are markings. It's some form of elvish. I can't read it. 待って/文字のようだ/★★エルフ語かな?/僕には読めない ★★ 厳密に言えば誤訳箇所。この呪文はモルドール語を「エルフ文字」(form of elvish)で書いてある。 エルフ文字は表音文字であり、他言語を筆記できる。 吹き替え「エルフ文字みたいです でも読めない」。 Gandalf: There are few who can. The language is that of Mordor. Which I will not utter here. 読める者は少ない/それはモルドール語だ/口にしてはならぬ言葉だ Frodo: Mordor?! モルドール?(※) ※吹き替え「モルドール語?」。 Gandalf: In the common tongue, it says 'One Ring to Rule them all, One Ring to find them. One Ring to bring them all, and in the darkness bind them.' 意味を訳すと(※)/”一つの指輪ははすべてを統べ”/”★一つはすべてを見つけ”/ ”★一つはすべてを捕らえて”/暗黒の中につなぎとめる ※厳密には「共通語では」だが、個人的には許容範囲の置き換え。 吹き替え「ここの言葉で言えばこうなる」。 ★ 字数の制限かと思われるが、残り三行から一つの「指輪は」が落とされている。 吹き替え「一つの指輪は全てを支配し 一つの指輪は全てをみつけ かつ捕らえて 暗闇の中に つなぎとめる」。 Gandalf: This is the one ring, forged by the Dark Lord, Sauron in the fires of Mount Doom, taken by Isildur from the hand of Sauron himself. これがその指輪だ★/冥王サウロンが滅びの山で造ったのだ/それをイシルドゥアが奪った ★ 台詞、吹き替えとも「これがひとつの指輪だ」。「the one ring」という名詞は全編を結ぶ 重要な単語。 Frodo: Bilbo found it. In Gollum's cave. そしてビルボの手に/ゴラムの洞窟で(※) ※吹き替えは「ビルボがそれを拾った ゴラムの洞窟で」。 Gandalf: Yes. For 60 years the ring lay quiet, in Bilbo's keeping, prolonging his life, delaying old age ★. But no no longer, Frodo. Evil is stirring in Mordor. The ring has awoken. It's heard its master's call. 以来指輪はビルボが人知れず持ちつづけ/彼の命を永らえさせた★/ しかし今 闇がモルドールで息づき/主人の呼ぶ声に/指輪が目覚めようとしている ★ 「永らえさせた」のではなく、台詞・吹き替え「老いを遅らせた」。ホビットとして 100歳以上というのはそれほど珍しくはないが、「見た目があまり老いない」のが異常なのである。 Frodo: But he was destroyed. Sauron was destroyed. そんなはずは サウロンは滅びたのでは Gandalf: No, Frodo. The spirit of Sauron endured. His life force is bound to the ring, and the ring survived. Sauron has returned. His orcs have multiplied, his fortress of Barad-dur is rebuilt in the land of Mordor. Sauron needs only this ring to cover all the lands in a second darkness. He is seeking it. Seeking it, all his thought is bent on it. The ring yearns above all else to return to the hand of its master. They are one. The ring, and the Dark Lord. Frodo. He must never find it. 滅びてはおらぬ/サウロンの魂は死なず/彼の生命力が指輪に宿り 指輪は生き続けてきた/ サウロンが甦るのだ/”オーク”の兵は数を増し モルドールではバラド=ドゥアの砦が再建された/ この指輪があれば/彼は全世界に 第二の暗黒時代をもたらすことができる/ だから必死で指輪を求める/指輪の方も何よりも主人の元に帰ろうとしている/ 冥王と指輪 それは一心同体なのだ/フロド 指輪は奪われてはならぬ Frodo: All right. We put it away, we keep it hidden, we never speak of it again. はい/どこかへしまって忘れてしまいます Frodo: No one knows it here, do they? 誰も知らないんでしょ(※) ※吹き替え「誰もここだと知らないんでしょ?」。 Frodo: Do they? Gandalf. ちがうの? 指輪: (何かを囁く) Gandalf: There is one other that knew that Bilbo had the ring. I looked everywhere for the creature Gollum. But the enemy found him first. I don't know how long they tortured him for. But amidst the endless screams and innane babble, they discerned two words. 一人だけ知っている者がいる/ ビルボが出会ったゴラムだ/(※) 奴はもう敵の手に/恐ろしい拷問をうけ/ 敵はその悲鳴の中から二つの言葉を聞き取った ※台詞はこの二行まったく別の文だが(「I looked everywhere for the creature Gollum. 」は 段落的に「But the enemy...」以降に掛かる)、個人的には意訳(圧縮)の許容範囲。 Gollum SHIRE! BAGGINS! シャイア! バギンズ! Frodo: Shire! Baggins?! But that would lead them here! シャイア? バギンズ?/敵がここへ? Gatekeeper: Who's that?(または「Who is out there?」) 誰だ? Frodo: Take it Gandalf! Take it! これを/うけとって Gandalf: No Frodo 字幕OUT Frodo: You must take it! おねがい/とって Gandalf: You cannot offer me this ring. 取れない Frodo: I'm giving it to you! 取って Gandalf: DON'T ... tempt me, Frodo! わしを誘惑するな Gandalf: I dare not take it. Not even to keep it safe. Understand, Frodo, I would use this ring from a desire to do good. But through me, it would wield a power too great and terrible to imagine. 受け取れぬ/守るだけであっても/わかってくれ わしなら良い目的のために使う/★★だがそれが持つ力の 大きさは想像するだに恐ろしい ★★ 大きな誤訳ではないが、台詞・吹き替え版「わしならその指輪を善のために使おうとする……だが そうなれば指輪は想像もつかない魔力を得るだろう」に比べ、「何故フロドより遥かに 強大なガンダルフが指輪を持つのを恐れるのか」が解りにくい字幕となっている。 字数考慮代案 「 わしなら善なる目的で使う/ だが わしが持てば力は膨れ/恐ろしい結果を招くだろう 」 (たけうち氏訳)。 Frodo: But it cannot stay in the Shire! ★★ここには置けん! ★★ フロドの丁寧語が突然崩れている。ガンダルフの台詞と勘違いしたようにしか見えない。 (また、同一箇所の台詞が「ここには置けない」に修正されている版も目撃証言がある) Gandalf: NO - no it can't. よそへ 持ちだすのだ Frodo: What must I do? じゃ ぼくが?(※) ※台詞「僕は何をすれば?」。 前文のガンダルフの台詞「NO - no it can't.」を「よそへ 持ちだすのだ」と意訳しているため、 個人的には会話として許容範囲。(会話としてかみ合っており、場面として大きく狂ってはいない) 但し、「ここには置けません」→「その通りだ」→「僕は何をすれば?」(たけうち氏訳)の、 台詞そのままの訳で十分な箇所。 Gandalf: You must leave. And leave quickly. 今すぐたつのだ Frodo: Where? Where do I go? どこへ? Gandalf: Get out of the Shire. Make for the village of Bree. シャイアを出てブリー村へ Frodo: Bree... What about you? あなたは? Gandalf: I'll be waiting for you, at the inn of the Prancing Pony. 宿屋"躍る小馬亭"で落ち合おう Frodo: And the ring will be safe there? 指輪は? Gandalf: I don't know, Frodo. I don't have any answers. I must see the head of my order. He is both wise, and powerful. Trust me, Frodo. He'll know what to do. You'll have to leave the name of Baggins behind you, for that name is not safe outside the Shire. Travel only by day, and stay off the road. 守りきれるかどうかはわからん/ わしの賢い先輩に聞こう 彼がどうするべきか教えてくれる/ バギンズという名は捨てろ 危険だ/ 移動は昼間 なるべく脇道を行け Frodo: I can cut across country easily enough. 田舎道は慣れてる Gandalf: My dear Frodo. Hobbits really are amazing creatures. You can learn all that there is to know about their ways in a month, and yet after a hundred years, they can still surprise you. フロド ホビットはすばらしい種族だ/ 君らの生き方は素朴だが/100年つきあってて まだおどろかされる Gandalf: Get down. 伏せろ Gandalf: Confound it all, Samwise Gamgee! Have you been eavesdropping? (※) おまえか おどかすな!/★盗み聞きを? ★「盗み聞きを?」していたのかしていないのかこれからするのか、 観客が考えねばならない字幕語法の例。 吹き替え「誰かと思えば庭師のサム!盗み聞きしていたか!」。 ※次のサムの「I haven't dropped no eaves」はここにかけた洒落。 (対応原文箇所: 'It's some time since I last heard the sound your shears. How long have you been eavesdropping?' 'Eavesdropping?, sir? I don't follow you, begging your pardon. There ain't no eaves at Bag End, and that'a a fact.' ) Sam: I haven't dropped no eaves, sir, honest. I was just cutting the grass under the window there, if you follow me. 何も盗んでなど/草を刈ってました(※) ※台詞「(軒なんか落としてません:洒落処理で変わる)本当です、旦那。おれ、ちょうどそこの窓の下の 芝を刈ってただけです」 吹き替え「そ、そんなとんでもねえです。窓の外の下草を刈ってただけで、な、何も」。 Gandalf: A little late for trimming the verge, don't you think? こんな時間に? Sam: I heard raised voices... 何か声が…(※) ※これも単純な台詞なのに、字幕だけ解りにくい。 吹き替え「こ、声がしたもので」。 Gandalf: What did you hear? SPEAK! 何を聞いたか言え! Sam: N-n-n-nothing important. That is I heard a good deal about a ring, Dark Lord, and something about the end of the world, but, please Mr Gandalf, sir, please don't 'urt me. Don't turn me into anything - unnatural... 別に何も/指輪と冥王がどうとか/ お願い 許して/魔法で変身させないで(※) ※間違っているわけではないがサムの個性がなさすぎる字幕。 代案「何も 何も/指輪と冥王とか/世界の終りとか/許して/旦那 変身させたりしないで」(以上私訳)。 吹き替え「ほ、ほんのちょびっと! ま、魔法の指輪の事と闇黒の王に世界の終わりとかです。 ど、どうかお願いです、ガンダルフ。俺をカエルに変えたり、しないで」。 Gandalf: No... Perhaps not... I've thought of a better use for you. イヤか? よかろう/お前には別の役目がある Gandalf: Come along, Samwise, keep up. Be careful, both of you. The enemy has many spies in his service... birds, beasts... Is it safe? しっかり歩け サム/気を許すなよ/ 敵はスパイを放ってる/鳥…/獣(けもの)―/指輪は?(※) ※吹き替え「無事だな?」(Is it safe? )。 Gandalf: Never put it on. For the agent of the Dark Lord will be drawn to its power. Always remember, Frodo. The ring is trying to get back to its master. It wants to be found. はめるなよ/その力が敵をおびき寄せる/ 忘れるな 指輪は主人の元へ戻ろうと―/助けを求める★ ★ 「助けを求める」が気になる部分。指輪の狡猾さが減じている。 台詞「忘れてはならぬ。フロドよ。指輪はあるじの元へ戻ろうとしている。見つけられたがっておる のだ」。 吹き替え「(忘れるな?)指輪は主人の元に帰りたがっている 迎えを呼んでおるのだ」。 「迎えを呼ぶ」は秀逸。 ■ホビット村から外へ------------------ Sam: This is it. ここだ(※) ※吹き替え「ここです」。吹き替えは「フロドに対する会話」として翻訳している。 Frodo: This is what? 何が? Sam: If I take one more step, it'll be the farthest away from home I've ever been. この一歩先は今まで足を踏み入れてない土地です(※) ※台詞「一歩踏み出したら、おれ、今までで家から一番遠くまで来たことになります」。 吹き替え「ここから一歩踏み出せば 俺には行ったことのない土地になります」。 Frodo: Come on, Sam. 来いよ Frodo: You remember what Bilbo used to say? ビルボは言った Bilbo: It's a dangerous business, Frodo, going out your door. You step out onto the road, and if you don't keep your feet, there's no knowing where you might be swept off to. ”用心を”/ 目的を決めずに家を出て/足の向くまま歩くと/とんでもない所へ行ってしまう ■アイゼンガルド------------------ Saruman: Smoke rises from the mountain of Doom, and the hour grows late, and Gandalf the Grey rides to Isengard seeking my counsel. For that is why you have come, is it not? My old friend. 滅びの山が煙を吐き―/悪とのたたかいが迫っている/ ★ガンダルフがわしの忠告を求め―/アイセンガルドに向かっている/ それで訪ねて来たのだろう 古き友よ ★ 「灰色の」が(おそらく字数の問題で)落とされている。「灰色の」というガンダルフを形容する単語 は、第2部で非常に重要となる。(既公開の予告編参照)。 Gandalf: Saruman. サルマン Saruman: You are sure of this? あの(傍点)指輪か?(※) ※吹き替え「本当にその指輪か?」。 Gandalf: Beyond any doubt. 間違いない Saruman: So the ring of power has been found. 伝説の”力の指輪”か★★★ ★★★ 余分な「伝説の」がつけられ、肝心の台詞「あの力の指輪がついに見つかったのか」が欠落している。 字幕製作者は、サルマンやガンダルフが人間ではなく、彼らにとっては少しも「伝説ではない」、 ”常に探していたあの力の指輪”であることを理解していないように思われる。 吹き替え「力の指輪が世に出たか」。このまま字幕に使用可能な字数である。 Gandalf: All these long years, it was in the Shire, under my very nose. ずっとシャイアにあったのに―/気づかず Saruman: Yet you did not have the wits to see it. Your love of the Halflings' leaf has clearly slowed your mind. 見逃していたのか/ホビットのパイプ草を吸いすぎ ボヤっとしてたのだろう?★ ★ 「ボヤッとしてた」。最高にサルマンらしくない台詞まわし。画面から浮いている。 吹き替え「ホビットのパイプ草でも吸い過ぎて心がゆるんでおったのかな」。 Gandalf: But we still have time. Time enough to counter Sauron if we act quickly. まだ時間はある/サウロンと闘う準備を Saruman: Time? What time do you think we have? 時間? 我々に時間があると? Saruman: Sauron has regained much of his former strength. He cannot yet take physical form, but his spirit has lost none of its potency. Concealed within his fortress, the Lord of Mordor sees all. His gaze pierces cloud, shadow, earth and flesh. You know of what I speak, Gandalf. A great eye, lidless, wreathed in flame. サウロンは以前の力を取り戻した/(※) 姿は取り戻していないが 魂は少しも弱っておらぬ/ モルドールの砦に立てこもり 全てを見ている/ 雲と闇、大地と肉、全てを射抜く眼力で/ 君はあの目を知ってるだろう?/まぶたのない大きな目 それをふちどっている炎 ※予告編の字幕間違いとは反対に、「much of」欠落。台詞「サウロンは以前の力のほとんどを 取り戻した」。 個人的には、予告編の「サウロンはまだ恐れるに足らぬ」(!)よりははるかに許容範囲である。 Gandalf: The eye of Sauron. それがサウロンだ Saruman: He is gathering all evil to him. Very soon he will summon an army great enough to launch an assault upon Middle Earth. 絶えず悪を引き寄せ/ じき中つ国を襲うに足る大軍勢を味方にするだろう Gandalf: You know all this? How? どうしてそれを? どうやって? Saruman: I have seen it. 見たのだよ Gandalf: A palantir is a dangerous tool, Saruman. その”パランティア”は危険だぞ Saruman: Why? Why should we fear to use it? なぜだ? なぜ恐れねばならんのだ? Gandalf: They are not all accounted for, the lost seeing stones. You do not know who else may be watching. 残りの6つの”見る石(パランティア)”が行方不明だからだ/ ★★誰かがこっちを見ている ★★ 不適切。台詞「誰が見ているかあんたにはわからん」。 吹き替え「どこかで見ているものがいるやも知れません」。 Saruman: The hour is later than you think. Sauron's forces are already moving. The nine have left Minas Morgul. ”九人勢(ザ・ナイン)”はもう砦を出た(※) ※「ミナス・モルグル」抹殺。(あまり重要ではないが) 吹き替え「ナズグルが闇黒の塔を出た」。 Gandalf: The nine. Saruman: They crossed the river Isen on Midsummer's Eve, disguised as riders in black. 奴らは黒の乗り手に変装し すでにアイゼン川を渡った(※) ※むしろここの「夏至の前日アイゼン川を渡った」の落ちの方が気になる。 (「夏至の前日」の割愛で、時間の流れがさらにつかみにくくなる) 吹き替え「何日も前にアイゼン川を渡っておる。九騎の黒い騎手の姿でな」。 Gandalf: They've reached the Shire? シャイアへ? Saruman: They will find the ring, and kill the one that carries it. 指輪を見つけるよ その持ち主は殺される Gandalf: Frodo! Frodo! フロドが…! Saruman: You do not seriously think that a hobbit could contend with the will of Sauron? There are none who can. Against the power of Mordor, there can be no victory. We must join with him, Gandalf. We must join with Sauron. It would be wise, my friend. ホビットがサウロンに立ち向かえると思うのか?/ 何人(なんびと)にもそれは無理だ/モルドールの力を相手に勝利はありえない/ ★★-1彼に従うのだ ガンダルフ/★★-2サウロンに従うのだ 賢明な道だよ 我が友 ★★1-2 「We must join with him」、「サウロンの陣営に加わるのだ」であって「従う」とは言っていない。 ただし吹き替えも、 「ホビットごときがサウロンに立ち向かえると本気で思ったのか? 誰も逆らえん。 モルドールの力には勝てるものはいない。潔く軍門に下るしかない。サウロンの配下となれ。 それが懸命な道だ」。 以上「配下になれ」と訳している。 Gandalf: Tell me, friend. When did Saruman the wise abandon reason for madness? 教えてくれ 我が友よ/賢者サルマンともあろう者が 理性を捨てて狂気に走ったのか? Saruman: I gave you the chance of aiding me willingly, but you have elected a way of pain! He then uses his staff to throw him to the top of the tower of Isengard. わしに組みする―/機会を与えてやったのに/お前は自ら痛みを味わう道を選んだ ■マゴットじいさんの畑--------------------- Sam: Mr Frodo? Frodo! FRODO! I thought I'd lost you. フロド様 フロド!/★消えたかと― ★ 吹き替え「見失ったかと」。 Frodo: What are you talking about? ★消えた? ★ 吹き替え「何の話だ?」。本字幕特有の、「原作を知らぬゆえの余計なお世話」 (”指輪の持ち主→姿を消せる”という狭窄的知識)と思われる。 Sam: It's just something Gandalf said. ★ガンダルフが… ★ 吹き替え「ガンダルフに言われたんです」。 Frodo: What did he say? 何て?(※) ※吹き替え「何て言われた?」。 Sam: "Don't you lose him, Samwise Gamgee." And I don't mean to. ★”フロドを守り、決して見失うな”と ★ 吹き替え「若旦那から離れるんじゃないって いてよかった」。 Frodo: Sam, we're still in the Shire. What could possibly happen? サム ここはシャイアだ 危険なんか Pippin: Frodo! Merry - It's Frodo Baggins! メリー フロドだよ Merry: Hello, Frodo. Sam: Get off him! Frodo, are you alright? ★どけよ ★ 後出の「困ったやつらだな」もそうだが、日本語に変換する以上、サムは丁寧語で 統一すべきかと思われる。 映画は原作より「サムと他のホビットたちの地位の差」を強調しない方向で処理されているが、 「サムはフロドに仕えている」+「フロド、メリー、ピピンは親戚同士」という映画にも 共通の情報が、「サムがピピンやメリーにしきりに対等以上の口をきいている」ことで ぼやけてしまっている。 吹き替え「どいて!」。 Frodo: What's the meaning of this? その野菜は? Merry: Hold these. Sam: You've been into Farmer Maggot's crop! ★野菜ドロボーを? ★ 字幕節。「野菜ドロボーを?」していたのだろうか。しなかったのだろうか。するのだろうか。 台詞「もうマゴットじいさんの畑に入ってますよ!」、 吹き替え「マゴットじいさんの畑ですよ!」。 Farmer Maggot: Hey! You get back here! ??? You get out of my fields... 盗んだな!(※) ※吹き替え「こそ泥どもめが どこにいる 出て来い 今日という今日はもう許さんぞ」。 Sam: OOh. Merry: I don't know why he's so upset. It's only a couple of carrots. ニンジンの3、4本くらい(※) ※吹き替え「何であんなに怒るんだ? ニンジンの3,4本くらいで」。 Pippin: And some cabbages. And then those three bags of potatoes we lifted last week, and, and, the mushrooms, the week before! キャベツも/先週はジャガイモを 3袋分/ 先々週はキノコ Merry: Yes, Pippin, my point is, he's clearly over reacting! Run! あいつの騒ぎ方は★オーバー過ぎる ★ 「大げさ」で十分でである。(この映画は現代物ではない) 吹き替え「ピピン 俺が言いたいのは怒り方が異常だっての!」 Pippin: Oooh. That was close. ★ヤバかった ★同上。この作品は現代物ではない。吹き替え「うう。危なかったな」。 Merry: Ahhh. Ohhh. I think I've broken something. 何か折れた音が(※) ※吹き替え「骨が折れたみたいだ」。これは吹き替えが意訳しすぎかもしれない (が、個人的にはこちらも許容範囲)。 Sam: Trust a Brandybuck and a Took. ★困ったやつらだよ!(※) ★台詞単体では誤訳(の意訳)ではないが、日本語に変換する以上、サムは丁寧語で 統一すべきかと思われる。(前述通り) ※台詞「ブランデーバックとトゥックときたら」 。 吹き替え「いつも騒ぎばかり起こすんだから」。 Merry: What? It was just a detour. A shortcut. こっちの方が近道だよ 正解だ★ ★ それこそ「何の正解」だろうか。台詞「何のことさ? それは回り道だよ。こっちが近道だ」。 吹き替え「なんだよ 近道できたろ 感謝しな」。 Sam: A shortcut to what? どこへの?(※) ※吹き替え「近道って何の?」。 Pippin: Mushrooms!! キノコだ!(※) ※ここまでの会話が原作第四章の章題「A shortcut to mushrooms」にかけた洒落になっている。 The Hobbits: (英文台詞拾い漏れあり) あった/★デカイな/うまそうだ ★ 前出「オーバー」同様、時代物として浮いている為、無意味に目立つ台詞表記。 吹き替え「すごいぜメリー ここなら近いしまた来ようぜ」。 Frodo: I think we should get off the road. ここは危ない Frodo: Get off the road! QUICK! 隠れろ!/早く! Sam: Be quiet. 静かに Merry: What was that? 何者だ? ■夜[バックの渡し場付近]----------------- Merry: Anything? 見えるか? Frodo: Nothing! 見えない Pippin: What is going on? あいつは何を?(※) ※吹き替え「いったい何なんだ」。観客が悩む字幕節は最後まで続く。 Merry: That black rider was looking for something. Or someone... Frodo? 何かを探してるんだ/でなきゃ誰かを Pippin: Get down! 伏せろ! Frodo: I have to leave the Shire. Sam and I must get to Bree. サムとシャイアを出て―/ブリーへ行く Merry: Right... Bucklebury Ferry. Follow me. わかった 川へ出て渡し舟で(※) ※台詞「わかった。バックルベリーの渡し場へ行こう。ついてきて」。 吹き替え「わかった。渡し舟で川を。ついてきな!」。 Merry: Hurry! Follow me! 逃げろ!/こっちだ早く! Merry: Get the rope, Sam! 急げ!/ロープを! Sam: Frodo! フロド! The Hobbits: Run, Frodo! No! Hurry! Come on! Faster! フロド!/早く! Frodo: How far to the nearest crossing? ★★どうする? ★★ 単純な誤訳(意味の取り違い)と推測される。ここは 「黒の乗り手が渡れそうな一番近い渡し場は?」という意味であり、 「自分たちがこれからどうする?」という意味ではない。原書の対応箇所を参照のこと。 吹き替え「一番近い橋は?」。 Merry: The Brandywine bridge. Twenty miles. 30キロ先にブランデーワイン橋が(※) ※時代物であるし、わざわざキロに直す必要はないのではなかろうか。但しこの単位翻訳には 各人意見あり。第2部、第3部ではリーグやエル単位も出るが……。 ■ブリー村------------------- Frodo: Come on. 行こう Gatekeeper: What do you want? 何だね? Frodo: We're heading for the Prancing Pony. 躍る小馬亭へ Gatekeeper: Hobbits. Four hobbits! What business brings you to Bree? ホビットが4人 ブリーに何か用でも? Frodo: We wish to stay at the inn. Our business is our own. その宿に用があるんだ Gatekeeper: Alright, young sir, I meant no offence. It's my job to ask questions after nightfall. There's talk of strange folk abroad. Can't be too careful. 入りな 日が暮れてからは旅人に用心せんとな(※)/変な奴がうろついてて最近は物騒なんだよ ※吹き替えにある「気を悪くするなよ」=「I meant no offence.」が落とされている。 バタバーも同様。相乗効果で大変心証が悪い。 吹き替え「分かったはいんな。気を悪くするなよ。日が落ちてからよそ者に用心しねえと 最近変なのがうろついててな。気をつけろって言われてる」。 Someone: おい どこを見てる! "The Prancing Pony" (画面の看板に対し字幕「躍る小馬亭」) Frodo: Excuse me. すみません Innkeeper: Good evening, little masters. If you're seeking accommodation, we've got some nice cosy, hobbit sized rooms available... Mr... er... ★★(以下全部)チッコイお客だな/ うちに泊まるならホビットサイズの部屋がある(※)/ミスター… ★★ 「Good evening, little masters.」を「チッコイお客だな」というのは強烈に違和感がある。 この台詞単体でも誤訳に近い意訳だが、この宿屋の主人(バーリマン・バタバー)は、 宿屋にホビット用の部屋も常備している男である。 (「hobbit sized rooms available」と、 この台詞にもある) 彼は「異形の小さい人間」を見たのではなく、「普通にホビットのお客を出迎えた」。 その映画的事実を見落としている。 ここは吹き替え版の「いらっしゃい、小さい旦那方」が素直に正しい。字数制限があるのなら 「いらっしゃい」のみで十分である。 吹き替え「いらっしゃい、小さい旦那方。泊まりのお部屋をお探しならホビットサイズの 居心地のよい部屋がありますよ。えっとーお名前はー?」。 Frodo: Underhill. My name's Underhill. アンダーヒル Innkeeper: Underhill... Frodo: We're friends of Gandalf the Grey. Can you tell him we've arrived? ★ガンダルフの友達だけど ★ 字数制限か「灰色の」が落とされている。「灰色の」が重要な理由は前述、後述。 吹き替え「灰色のガンダルフに友達が来たと伝えて」。 Innkeeper: Gandalf? Gandalf... Oh.... yes! I remember. Elderly chap. Big grey beard, and pointy hat. ガンダルフ?/そうか わかった/あの年寄りか/★★白いヒゲに尖った帽子 ★★ 「Big grey beard」を「白いヒゲ」というのは誤訳ではないが、前台詞でガンダルフの 「灰色の」を落としているため、結果的に違和感がある。 「灰色の」という形容詞落ちを繰り返し指摘するのは、本作品で一旦「灰色のガンダルフ」は 死ぬからである。 吹き替え「ガンダルフ?ガンダルフね? ああ! そう、思い出した。年寄りの魔法使いか。 灰色の長い髭にとんがり帽子の」。 Innkeeper: Not seen him for 6 months. ★★半年見とらんな ★★ お客に対する台詞回しではない。吹き替え「半年ほど見かけない」。 Sam: What do we do now? ★★どうする? ★★ 詳細後述するが、ここもサムの対フロドの台詞が突如丁寧語ではなくなっている。 非常に違和感があり目立つ。 吹き替え「どうするんですか?」。 Frodo: Sam - he'll be here. He'll come. サム ガンダルフは必ず現れる Someone: (英文台詞書き取り漏れあり) ジャマだよ Pippin: What's that? それは? Merry: This, my friend, is a pint. ★★ジョッキ入りビール ★★ 次の台詞と合わせて「意味不明字幕」として印象深い。字幕と映像とを見ると、 なぜメリーが得々とジョッキを自慢しているのか解らないからである。正解は台詞。 台詞「1パイントのジョッキだよ」。 吹き替え「ビールに決まってる 大ジョッキさ」。 Pippin: It comes in pints? I'm getting one. ★★それで飲むのか?/おれも ★★ 台詞「パイントで飲めるのか?」。 吹き替え「大ジョッキがあるのか よしおれも」。こちらは意訳として正しい。 Sam: You've had a whole half already!! That fellow's done nothing but stare at you since we arrived. ★★酔うなよ!/★★あいつずっと君を見てる ★★ 前述通り。メリーとピピンに対しても対等以上の乱暴な口調で、人物解釈としておかしい。 さらに台詞は「もうたっぷり飲んだでしょう!」。 吹き替え「あ! のみ過ぎですよ」。正しい。 ★★ ここで(厳密には手前の「どうする?」も)突然サムがフロドに対し友達言葉になったため、 原作未読読者は二人の「主従関係」が理解できず混乱し、原作既読者は不快感を味わっている。 吹き替え「さっきからあの男、ずっとあなたを見ています」と丁寧語。 何故このサムの台詞だけ、このような違和感のある言葉遣いが放置されているのだろうか。 Frodo: Excuse me. That man in the corner. Who is he? ちょっと…/あの奥にいる客は? Innkeeper: He's one of them rangers. Dangerous folk, they are, wandering in the wilds. What his right name is, I've never heard, but around here, he's known as Strider. ”さすらい人”(レインジャー)/森をさまよい歩く物騒な連中で/ あいつの呼び名は/―”韋駄天”(ストライダー) Frodo: Strider... ”韋駄天(ストライダー)” Unknown Baggins... Baggins... Baggins, Baggins, Baggins バギンズ…/バギンズ Pippin: Baggins? Sure I know a Baggins. He's over there.Frodo Baggins. He's my second cousin once removed on his mother's side and ... バギンズ? 知ってるよ/あいつがフロド・バギンズだ/ おれの母方のまたいとこ(「またいとこ」に傍点)さ/父方から数えると*** Frodo: Pippin! ピピン! Pippin: Steady on! ★何する! ★ 直訳「落ち着いて」「慌てないで」。観賞中も非常に違和感がある。 吹き替え「よせよ!」。 Voice: You cannot hide. I see you. もう逃れられんぞ/この目が見てる/冥界に生命は存在せぬ/あるものは死だ Strider: You draw far too much attention to yourself, Mr Underhill. 人目に気をつけろ アンダーヒル Frodo: What do you want? ★★何者だ? ★★ ここから下は意訳しすぎて元台詞から乖離している。意訳する意図(秒数など)はわかるが、 わざわざ置き換えてある単語(安っぽい装身具)があっさり「指輪」として投げ売りされている。 Strider: A little more caution from you, that is no trinket you carry. ★★オモチャの指輪じゃないぞ ★★ 台詞「不注意に過ぎますな。あなたが運んでいるのは玩具ではないぞ」。 吹き替え「人目を引く真似はつつしむことだ、アンダーヒル。あれの扱いには注意が必要だ」。 Frodo: I carry nothing. ★★指輪って? ★★ 「ぼくは何も運んでない」。吹き替え「あれって何?」。 Strider: Indeed. I can avoid being seen if I wish. But to disappear entirely. That is a rare gift. 知らない?/★★逃げ隠れは出来ても 姿をかき消せる者はめったにいない ★★ 台詞「そうかね。私はおのれが望めば人に姿を見られないようにできる。 しかし完全に姿を 消すことはできないぞ。 それはまれな才能だ」。 意訳(圧縮)の意図はわかるが、「私が」を落としたのは大失敗と思われる。 吹き替え「指輪だ 普通に身を隠すことは出来ても 完全に消えることは 人には出来ない」。 ここは吹き替えも好ましくない。 字数考慮代案 「身を隠すのは私も得意だが/完全に消えるとは-/稀な才能だ 」(たけうち氏訳)。 Frodo: Who are you? あんたは? Strider: Are you frightened? 怖いのか?(※) ※吹き替え「私が怖いか?」。 Frodo: Yes. ああ Strider: Not nearly frightened enough. I know what hunts you. 君を追ってる奴らはもっと怖いぞ(※) ※台詞「十分恐がっているとは言えないな。私は何があなたを追っているか知っている」。 Sam: Let him go, or I'll have you, longshanks! 剣を捨てないと殺すぞ(※) ※台詞「彼を離せ、さもなきゃ腕づくでもさせるぞ! この長脛め!」。 字幕代案「旦那を放せ 長脛め!」(私訳)。 Strider: You have a stout heart little hobbit. But that will not save you. You can no longer wait for the wizard, Frodo. They're coming. 勇気だけあっても 助からん/ ガンダルフが現れる前に奴らが現れる ■躍る小馬亭・夜半----------------- Frodo: What are they? あいつらは? Aragorn: They were once men. Great kings of men. Then Sauron the Deceiver gave to them 9 rings of power. Blinded by their greed, they took them without questioning, one by one, falling to darkness. Now they are slaves to his will. They are the Nazgul. Ring wraiths. Neither living nor dead. At all times they feel the presence of the ring. Drawn to the power of the One. They will never stop hunting you. かつての―/偉大な王たちだ/だがサウロンの9つの指輪を 欲に目がくらみ受け取った/ その結果次々と暗黒の世界に堕ち サウロンの奴隷となった/ 生死の間をさまよう指輪の僕 ナズグルだ/ 失われた力の指輪の行方を追っている 君の後をね(※) ※吹き替え「指輪の存在を感じ取り、常にその力に引き寄せられている どこまでも君を追うだろう」。 個人的には字幕の「At all times they feel the presence of the ring. Drawn to the power of the One. They will never stop hunting you. 」→「失われた力の指輪の行方を追っている 君の後をね」の 置き換えが気にかかる。この字幕には切迫した恐ろしさがない。 Frodo: Where are you taking us? どこへ? Strider: Into the wild. 人里を離れる ■ブリー村から裂け谷へ----------------- Merry: How do we know this Strider is a friend of Gandalf's? 彼は本当にガンダルフの友達? Frodo: We have no choice but to trust him. 信用するしかない Sam: But where is he leading us? でもどこへ? Strider: To Rivendell, Master Gamgee, to the House of Elrond. 裂け谷のエルロンドの館だ Sam: Did you hear that? Rivendell. We're going to see the elves. 裂け谷へ?/エルフの国だ★ ★ 吹き替えは「聞きました? 裂け谷だって! エルフに会えるんですよ!」。 字幕では「サムがエルフを見たがっている」という情報が消えている。 (これらが積み重なって、字幕版はサム《とギムリ》の人物像が非常に薄い) Strider: Gentlemen. We do not stop 'till nightfall. 君たち!/日中は歩き続ける Pippin: What about breakfast? 朝飯(めし)は? Strider: You've already had it. 食ったろ Pippin: We've had one, yes. What about second breakfast? 1回目はね 2回目の朝飯は? Merry: Don't think he knows about second breakfast, Pippin. あいつは2度食わないらしい Pippin: What about elevensies? Luncheon. Afternoon tea. Dinner? Supper. He knows about them. Doesn't he? 朝のおやつは?/昼飯(めし)と昼のおやつ/夕飯(めし)は? 夜食は?/それもなし? Merry: I wouldn't count on it. 我慢しよう Merry: Pippin... ピピン! ■アイゼンガルド--------------- Saruman: The power of Isengard is at your command, Sauron, lord of the earth. アイゼンガルドの力をお役立て下さい/大地の支配者冥王サウロンよ Voice of Sauron: Build me an army worthy of Mordor. モルドールにふさわしい軍を立ち上げよ Orc: What orders from Mordor, my lord? What does the Eye command? どういう命令が?/偉大なる”御目”は何と?(※) ※吹き替え「モルドールよりいかなるご命令が? 遠見の玉はなんと?」。 吹き替えが「the Eye」をあえて「遠見の玉」に置き換えているのが面白い。 耳で「おめ/おんめ」と聞いたときの理解度を考慮したためと思われる。 Saruman: We have work to do. 仕事ができたぞ Orc: The trees are strong, my lord. The roots go deep. 地に深く根をおろした大木ばかりです Saruman: Rip them all down. 一本のこらず倒せ ■場面一行に戻る---------------- Strider: This was the great watchtower of Amon Sul. We shall rest here tonight. アモン・スールの見張り塔だ/ここで休もう Strider: These are for you. Keep them close. I'm going to have a look around. Stay here. 肌身離さず これを持て/おれは見回ってくる ここを動くな Pippin: Can I have some meat? 字幕OUT Merry: Ok. Want a tomatoes, Sam? Great tomatoes... トマトを? Frodo: What are you doing?! 何してる! Merry: Tomatoes, sausages, nice crispy bacon. ソーセージもあるよ Sam: We saved some for you, Mr Frodo. 一緒に★★ ★★ 台詞、吹き替えとも「あなたの分もとっておきました」。繰り返される「サムの個性抹消」の 好例である。 字数考慮代案「あなたの分も」(たけうち氏訳) Frodo: Put it out, you fools! Put it out! よせ! 火を消せ! Pippin: Oh, that's nice! Ash on my tomatoes... トマトが灰だらけだ Frodo: Go!!! 字幕OUT Sam: Back you devils!!! 来るな! Frodo: Ahhhhhhhh. Sam: Frodo! Frodo: Sam. Sam: Strider! Help him Strider! ★ストライダー!/助けて! ★ 折角導入した「韋駄天」(+ルビ)が、この場面以降まったく使用されなくなる。 何のための訳語だったのか。 Aragorn: He has been stabbed by a Morgul blade. This is beyond my skill to heal. He needs Elvish medicine. Hurry! モルグルの剣で刺された/私の力では無理だ エルフの薬を/急げ! Sam: We're 6 days from Rivendell! He'll never make it! ”裂け谷”までは6日間かかる(※) ※「裂け谷へは六日”も”かかる!」の方が切迫感が出る。後半訳し落しのため、 字幕台詞に緊迫感不足。 Aragorn: Hold on, Frodo 頑張れ Frodo: Gandalf!!! ガンダルフ! Gandalf: Fetch Gwaihir, fetch Gwaihir... Go... (※) ※吹き替え版では「…グワイヒア 行け!」がはっきり聞こえるように台詞が入っているが、 字幕ではOUT処理され、日本の観客には「ここでグワイヒアへ伝言した」ことが解り にくくなっている。せめて「グワイヒア…」だけでも表示すべきでは。 Sam: Mr Frodo? He's going cold! フロド様 体が冷たい Pippin: Is he going to die? 死ぬの? Aragorn: He's passing into the shadow world. He'll soon become a wraith like them. 影の世界に入ると 指輪の僕になる(※) ※圧縮しすぎて微妙に違う。「指輪の」幽鬼になるわけではない。 台詞、吹き替えとも「闇の世界に入ろうとしている ナズグルと同じくな」。 Merry: They're close! 敵だぞ! Aragorn: Sam, do you know the Athelas plant? サム アセラス草を Sam: Athelas? アセラス? Aragorn: Kingsfoil. ★★-1薬草だ Sam: Kingsfoil, ah, it's a weed. ★★-2野に生える? ★★1-2 「王の葉」という単語は、第3部で出てくるはずの伏線のひとつ。ここが何故指摘対象になるか 説明すると、「王の葉」(Kingsfoil)には古来からの効能があるのだが、この物語の時代には 「只の雑草」として認識されている逸話があるからである。 吹き替え「王の葉だ」「草だね」。 字数考慮代案「”王の草”だ」「王の草か 雑草だよ」。(たけうち氏訳) Aragorn: It may help to slow the poison. Hurry. あれは毒を押さえる Arwen: What's this, a ranger, caught off his guard? ”さすらい人(レンジャー)”が隙をつかれたの?(※) ※吹き替え「さすらい人ともあろう者が隙を見せるとは。」。 Arwen: Frodo... Im Arwen. Telin le thaed. Lasto beth nin, tolo dan na ngalad. (Translation into English:) I am Arwen. I have come to help you. Hear my voice. Come back to the light. フロド/私アルウェンが助けるわ/私の声を聞いて―/甦りを― Merry: Who is she? 今のは?(※) ※吹き替え「何者だ?」。 Arwen: Frodo フロド Sam: She's an elf. エルフ語だ(※) ※台詞と吹き替え「エルフ族です」。 Arwen: He's fading. He's not going to last. We must get him to my father. I've been looking for you for 2 days. 弱っていく…/死んでしまう/父の館へ/二日間探したのよ Sam: Where are you taking him?! どこへ? Arwen: There are 5 wraiths behind you. Where the other four are I do not know. 追ってくる騎手は五人/後の四人はどこへ?★ ★ 台詞「後ろに幽鬼達が五人いたわ。あとの四人がどこへ行ったかはわからない」。 「後の四人はどこへ?」では日本語として意味不明。 吹き替え「ナズグル(?)は5人います 残りの4人は見当たりません」。 Strider: Dartho guin berian. Rych le ad tolthathon. (Translation:)Stay with the Hobbits. I will send horses for you. 馬を呼ぶから待て Arwen: Hon mabathon. Rochon ellint im. (Translation:) I'm the faster rider. I'll take him. 大丈夫よ/私にまかせて Strider: Andelu i ven. (Translation:) The road is too dangerous. だが危険だ Pippin: What are they saying? 何の話を? Arwen: Frodo fir. Ae athradon i hir, tur gwaith nin beriatha hon. (Translation:) Frodo is dying. If I can get across the river, the power of my people will protect him. I do not fear them. 川を超えればエルフの力が彼を守るわ/指輪の僕くらい! Strider: Be iest lin. (pronounced beyest lin) (Translation: According to your wish) Arwen, ride hard. Don't look back! 気をつけて/走り続けるんだ/後ろを振り返るな Arwen: Noro lim, Asfaloth, noro lim! (Translation:) Ride on, Asfaloth, ride fast Sam: What are you doing! Those Wraiths are still out there!! とめろ! 奴らにつかまるぞ! Arwen: Noro lim, asfaloth! A Rider: Give up the Halfling, she-elf! そいつをこっちに渡せ(※) ※吹き替え「そいつをよこせ、エルフめ」。 Arwen: If you want him, come and claim him. ★奪いにきたらどう? ★ 「齢3000歳のエルフの姫が何とはすっぱな言葉遣いを」という声がファンより上がっている。 字数考慮代案 「欲しければ おいでなさい! 」(たけうち氏) 吹き替え「彼が欲しければ 取りに来るがよい」。 Arwen: Nin o Chithaeglir, lasto beth daer, Rimmo nin Bruinen dan in Ulaer! (Translation:) Waters of the Misty Mountains listen to the great word: flow waters of Loudwater against the Ringwraiths! 字幕OUT Arwen: Frodo! No! Frodo, don't give in! Not now! What grace is given me, let it pass to him. Let him be spared. Save him. フロド しっかり/死なないで(※)/しっかり!/私に与えられた恩寵の力を/彼の上に垂れ命をお助け下さ い/お願いです ※吹き替え「駄目よ 負けてはいけない」。 Elrond: Lasto beth nin. Tolo dan nan galad. Translation: (Hear my voice, come back to the light) 字幕OUT Frodo: Where am I? ここは? Gandalf: You are in the house of Elrond, and it is 10 o'clock in the morning, on October the 24th if you want to know. ここはエルロンドの館だ/今は朝の10時 10月24日だよ 念のため Frodo: Gandalf. ガンダルフ Gandalf: Yes? Yes, I'm here. And you're lucky to be here too. A few more hours, and you would have been beyond our aid. But you had some strength in you. My dear hobbit. そう わしだよ/おまえは運が良かった/あと数時間遅かったら手遅れになっていた/ ★★ホビットにしてはなかなかしぶとい奴じゃ ★★ 台詞は「おぬしは素晴らしく強い奴じゃ」というところを、字幕は脚色が過ぎてホビット蔑視に なっている。 (この「some」は「多少の」ではなく「大した」の方を選択すべき。凶悪な黒の剣に耐えたことを 感心している場面) 吹き替え「思った以上に頑丈じゃな 感心したぞ」。 Frodo: What happened? Why didn't you meet us? あの宿で/―会えるかと(※) ※吹き替え「どうしたんです ガンダルフ 宿に来なかった」。 Gandalf: Oh, I'm sorry Frodo. I was delayed. 悪かった フロド/予定が狂ってな(※) ※「わしは遅刻した」で、冒頭の「魔法使いは遅刻せん」の落ちになっている。 吹き替え「ああ すまん フロド 予定が狂ってな」。ここは字幕と同じ意訳。 Saruman: A friendship with Saruman is not lightly thrown aside. One ill turn deserves another. It is over. Embrace the power of the ring, or embrace your own destruction. このサルマンとの友情をそんなに簡単に捨てる気か/そう出るのならいっそ決着を付けてしまおう/ 指輪の力に屈するか 自らの破滅に屈するか(※) ※台詞「自らの破滅を受け入れるか」。後述する「過ぎ去った過去」に通じる語感 (日本語としての違和感)である。 字数考慮代案「破滅を受け入れよ」(たけうち氏訳)。 Gandalf: There is only one Lord of the Ring. Only one can bend to his will. And he does not share power. ”指輪の王”はこの世にただ一人/彼のみが指輪を意のままに使い/誰とも権力を分かち合うことはない Saruman: So you have chosen death. 死を選ぶということだな Frodo: Gandalf? What is it? ガンダルフ?/どうしたの? Gandalf: Nothing. 何でもない Sam: Frodo! Frodo! フロド! Frodo: Sam! Sam: Bless you, you're awake! フロド! 目が覚めたんですね! Gandalf: Sam has hardly left your side. サムがお前の看病を Sam: We were that worried about you, weren't we, Mr Gandalf! 心配しましたよね Gandalf: By the skills of Lord Elrond, you are beginning to mend. エルロンド卿のおかげで回復に向かってる Elrond: Welcome to Rivendell, Frodo Baggins. ”裂け谷”へようこそ 歓迎するよ フロド・バギンズ Frodo: Bilbo! ビルボ! Bilbo: Hello, Frodo, my lad! フロド! 私のフロド! Frodo: Bilbo! There and back again, A hobbit's tale, by Bilbo Baggins. This is wonderful. ホビットの冒険 ビルボ・バギンズ著/すごい! Bilbo: I meant to go back. Wander the paths of Mirkwood. Visit Laketown. See the Lonely Mountain again. But age, it seems has finally caught up with me. ★★村にまた戻るつもりだった/あの不思議な闇の森/湖の町/もう一度”はなれ山”を と/ 私も寄る年波に負けてしまった(※) ★★ 完全な誤訳。字幕製作者は映画前半の「And I don't expect I shall return. In fact I mean not to. 」 を失念していたらしい。 「I meant to go back. 」は「Wander the paths of Mirkwood. Visit Laketown. See the Lonely Mountain again.」に掛かっており、つまり「ホビットの冒険」で旅した場所である。 吹き替え「また行くつもりだった」。 ※吹き替えは「年がとうとう私に追いついてきた」。指輪の力のおかげで「持ちのいい人」だったので、 こちらが正しい。(単純に「年を取った」わけではない) ☆ビルボの本の一ページ=ホビット庄の地図”The Shire”に字幕 「シャイア」 Frodo: I miss the Shire. I spent all my childhood pretending I was off somewhere else, off with you on one of your adventures. But my own adventure turned out to be quite different. I'm not like you, Bilbo. シャイアが恋しい/子供の頃はよその土地を夢見ていた/あなたと一緒に冒険の旅へと/ それがこんな旅に(※)/あなたはすごい ※吹き替え「実際の冒険は夢とは大違い あなたにはかないません」。 Bilbo: My dear boy. 私のフロド Sam: Now, what have I forgotten? ★忘れ物が? ★ 「忘れ物はないかな?」という独り言なので、違和感がある。 (字幕では質問なのか独り言なのか解らない) 字数に拘泥するなら代案「忘れ物は と」(私訳)、 または「忘れ物は ないかな?」(たけうち氏)。 また吹き替えは「あと忘れ物は、と」。 Frodo: Packed already. もう荷造りを?(※) ※吹き替え「もう荷造りか?」。「か」と「を」。同じ一字であるが、分かりやすさは格段に差がある。 Sam: No 'arm in being prepared 準備しときゃ安心(※) ※吹き替え「準備だけでもと」。 Frodo: Thought you wanted to see the elves, Sam. ”エルフに会いたい” と(※) ※吹き替え「エルフに会いたかったんだろ」。 「”エルフに会いたい” と」では、 何のことやら、日本語としてわからない。 代案「エルフに会いたがってたろ?」(たけうち氏訳)。 Sam: I do. Frodo: More than anything. 君の望みだろ(※) ※台詞「何よりも見たがってたじゃないか」。吹き替え「それが夢だった」。 代案「何よりも」(たけうち氏訳)。 Sam: I did. It's just We did what Gandalf wanted, didn't we? We got the ring this far to Rivendell. And I thought, seeing now you're on the mend, we'd be off soon. Off home. そうです だけど/★ガンダルフに言われたとおりに/ 指輪を”裂け谷”に届けました/ あなたのケガも治ったし そろそろ引き返しては(※) ★ ガンダルフは「裂け谷まで指輪を届けろ」とは言っていない。結果的にガンダルフの願い通りに なったことを示している台詞。 ※「そうです。でも、おれたちはガンダルフの旦那の望んだ通りやりましたよね?  指輪をこんな遠くへ、裂け谷へ届けました。そしておれ、あなたの怪我が治ったのをみて 思ったんです。もうじき発てるんじゃないかって。家へです」。 吹き替え「そうです。ああ、でもガンダルフに言われた事はやりました。 指輪は無事裂け谷に届けたし、あとはあなたの傷が治るのを待って家に帰る、だけです」。 字幕代案「そうです/でも- /役目は果たしましたよね /指輪を運んで来た / あなたも治ってるし/帰れるはずです/家に」(たけうち氏訳)。 Frodo: You're right, Sam. We did what we set out to do. The ring will be safe in Rivendell. I am ready to go home. 君の言う通りだサム/勤めは果たした/指輪はもう安全だ(※)/僕も家に帰りたい ※吹き替え「そうだな、サム。やるべき事はやった。指輪もここなら安全だ。僕もうちに帰りたい」。 微妙な差ではあるが、字幕の「もう安全」なら後続の会議は必要ない。 (台詞「裂け谷にある間は安全だろう」。) Elrond: His strength returns. 彼の体力は戻った Gandalf: That wound will never fully heal. He will carry it the rest of his life. だがあの傷の痛みは一生彼を苦しめる Elrond: And yet, to have come so far, still bearing the ring, the hobbit has showed extraordinary resillience to its evil. 彼は傷を負いつつ指輪を”裂け谷”に届けた ★指輪の悪の力にも屈せず ★ 台詞「指輪を身に帯びながらここまで辿り着いたとは、ホビット族は魔の力に類いまれな 抵抗力がある」。 吹き替え「指輪を身に帯びながら悪の誘惑に打ち勝つとは ホビットとは見上げた種族よ」。 Gandalf: It is a burden he should never have had to bear. We can ask no more of Frodo. このような仕事はもう二度と彼に背負わすまい Elrond: Gandalf, the enemy is moving. Sauron's forces are massing in the east. Its eye is fixed on Rivendell. And Saruman, you tell me, has betrayed us. Our list of allies grows thin ガンダルフ 東の方でサウロンの軍が動き始めた/ 奴の目は この国の上に/サルマンまで寝返って 味方の数はますます減った Gandalf: His treachery runs deeper than you know. By foul craft Saruman has crossed Orcs with Goblin men. He's breeding an army in the caverns of Isengard. An army which can move in sunlight, and cover great distance and speed. Saruman is coming for the ring. 裏切っただけでなく/彼は妖術でオークと人間を掛け合わせ兵力を育てている/ 日中でも驚くべき速さで移動できる兵を/★奴らの狙いは指輪だ ★「Saruman is coming for the ring. 」が何故か「奴らの狙いは指輪だ」になっている。 Elrond: This evil cannot be concealed by the power of the Elves. We do not have the strength to fight both Mordor and Isengard. Gandalf. The Ring cannot stay here. エルフの力をもってしても/うち勝てぬ/ モルドールとアイゼンガルドの連合軍にはな/ガンダルフ/★★指輪はよそへ ★★ 「The Ring cannot stay here.」、「ここには置けぬ」(≠ここでは守りきれない)が 「指輪がよそへ」と訳されている。このためエルロンド卿の性格が、字幕版だけ独善的な印象に なってしまった。 吹き替え「指輪はここには置けない」。 Elrond: This peril belongs to all Middle-earth. They must decide now how to end it. The time of the Elves is over. My people are leaving these shores. Who will you look to when we've gone? The Dwarves? They hide in their mountains seeking riches. They care nothing for the troubles of others. 中つ国全体の危機だ/会議で対策を決めよう/ エルフの時代は終わろうとしている/★エルフに代わる味方は?/ 金鉱を探し求め 他の種族にはとんと無関心のドワーフか? ★ 吹き替え「エルフの時代は終わろうとしている 我らはまもなく海を渡る 我らが去った後、 誰を頼る?」。 Gandalf: It is in men that we must place our hope. 望みを託せるのは人間だ Elrond: Men? Men are weak. The race of men is failing. The blood of Numenor is all but spent. It's pride and dignity forgotten. It is because of men the ring survives. I was there, Gandalf. I was there three thousand years ago... and Isildur took the ring. I was there the day the strength of men failed. 人間?/奴らは弱い/あてにできん/★★ヌメノールの血も途絶え 誇りを忘れた種族だ/ 指輪が今日存在するのも 人間のせい(傍点)なのだ/ 3000年前 私はこの目で見た/イシルドゥアが指輪を…/あの日を境に人間の力は衰えた ★★ 「The blood of Numenor is all but spent.」=「ヌメノールの血も弱りきった」ものの、 途絶えてはいない。 Elrond: Isildur! Hurry! イシルドゥア! 来い Elrond: I led Isildur into the heart of Mount Doom. Where the ring was forged. The one place it could be destroyed. 私はイシルドゥアを滅びの山へ連れていった/指輪を葬る為に★ ★ 後続の「The one place it could be destroyed. 」訳し落し(圧縮)。 該当部分吹き替え「指輪を葬ることの出来る唯一の場所だ」。 Elrond: Cast it into the fire. Destroy it!! 火の中に投げこめ!/投げろ! Isildur: No. イヤだ Elrond: Isildur!! イシルドゥア! Elrond: It should have ended that day, but evil was allowed to endure. Isildur kept the ring, the line of kings is broken. There's no strength left in the world of men. They are scattered, divided, leaderless... その日終わるべきだったのに 悪は命を永らえた/ イシルドゥアは指輪を放さず/王の血統は絶えた(←確証なし)/ 力と指導者を失った人間は 散り散りになった(※) ※台詞「あの日に終わるべきだったのに、悪は永らえることを許された。イシルドゥアは 指輪を持ち続け、王の血筋は毀たれた。人間たちに残された力などない。 彼らは分裂し散り散りになり、指導者もおらぬ」。 吹き替え「その火で滅びるはずだった悪は、こうして生き永らえた。イシルドゥアは指輪を捨てず、 王の血筋は死に絶えた。導くものを失った人間の世界はもはや何の力も持たん」。 Gandalf There is one who could unite them. One who could reclaim the throne of Gondor. ただ一人彼らを結束させ/王座を継ぐ者がいる Elrond: He turned from that path a long time ago. He has chosen exile. 彼はその道を捨てた/今は流浪の身だ ■最後の憩い館・夜----------------- Boromir: The shards of Narsil, the blade that cut the ring from Sauron's hand.Still sharp. ナルシルの剣か/サウロンの指輪の指を切り落とした剣/まだ鋭い Boromir: No more than a broken heirloom. ただの折れた剣さ Arwen: Why do you fear the past? You are Isildur's heir, not Isildur himself. You are not bound to his fate. 何故過去を恐れるの? あなたはイシルドゥアの子孫であって イシルドゥアその人ではない/ 運命だって彼とは違う(※) ※吹き替え「なぜを過去を恐れるのです。イシルドゥアの子孫であれ、 イシルドゥアではありません。運命も異なるはず」。 Strider: The same blood flows in my veins. The same weakness. だが体を流れる血は同じだ/同じ弱さを持ってる Arwen: Your time will come. You will face the same evil and you will defeat it. A si i-dhuath u-orthor, Aragorn. U or le a u or nin (Translation: The Shadow does not hold sway yet. Not over you, not over me.) いつかあなたも同じ敵と対決して/それに打ち勝つ/伸びてくる影の手は―/あなたと私をまだ覆っていない(※) ※吹き替え「あなたも同じ悪と戦う時がきます。そしてあなたは勝つ」。 吹き替えはアルウェンの台詞が丁寧語であるため、ほとんど同一内容でも品が良く、好感度が高い。 Arwen: Renech i lu ned ol reniannen? (Translation: Do you remember when we first met?) 初めて会った時の事を? Strider: Nauthannem i ned ol reniannen. (Translation: I thought I had strayed into a dream.) 夢の世界へ踏みこんだかと思った Arwen: Gwenwin in enninath. U-arnech n naeth i si celich. Renech i beth i pennen? (Translation: Long years have passed. You did not wear the troubles you carry now. Do you remember what I told you?) あれから長い歳月が…/こんな苦労の影はなかった/私の言葉を覚えてる? Strider: You said you'd bind yourself to me, forsaking the immortal life of your people. 二人でちぎり(傍点)を結び エルフに約束された 永遠の命を喜んで捨てると(※) ※意訳の範疇と言えるだろうが、台詞に「契り」という単語はない。また、「本作品のこの時点で 『契りを結んでいる』」保証はない。 ここは吹き替えも微妙なところだが、同じ「契り」という単語を使用しても、位置(文脈)が違うので 重みが変わって聞こえるのが面白い。 吹き替え「エルフの不老不死の命を捨てても、私と契りを結びたい。そう言った」。 Arwen: And to that I hold. I would rather share one lifetime with you, than face all the ages of this world alone. I choose a mortal life★. 今も同じ気持ちよ 残りの人生を一人で生きるより(または「孤独に永遠を生きるより」) ただ一度の生 をあなたと分かち合いたいの/ ★死に終わる生を選びます ★ 「死すべき運命(さだめ)を選びます」で問題があるのだろうか。「mortal」という単語には、 日本の場合「死すべき運命」という素晴らしい訳語がある。(指輪の詩の、 「九つは、死すべき運命(さだめ)の人の子に」=「Nine for Mortal Men doomed to die,」参照) 吹き替え「今も変わりません。一人孤独に永遠の命を生きるより、あなたとともに限りある命を終わりたい。 限りある命を選びます」。 Strider: You cannot gives me this. もらえないよ(※) ※吹き替えは「これは受け取れない」。字幕は昼メロと称するしかない。 Arwen: It is mine to give to whom I will. Like my heart. いいえ差し上げたいの 心(ハート)と一緒に(※) ※なぜわざわざ「心」に「ハート」とルビを? 英語の「heart」は「心」であるが、 日本語カタカナの 「ハート」は「ココロ」である。翻訳者はその差異を認識しているはずである。 台詞「これはわたくしのものです。わたくしの望む方に差し上げたいのです。 わたくしの心と同じように」。 吹き替え「いいえ、あなたに差し上げたいの。心と共に」。 Elrond: Strangers from distant lands, friends of old. You have been summoned to answer the threat of Mordor. Middle-earth stands upon the brink of destruction. None can escape it. You will unite, or you will fall. Each race is bound this fate, this one doom. Bring forth the ring, Frodo. ★遠来の見知らぬ友よ そして古き友/ モルドールの脅威への対策を話し合おう/中つ国は破滅の縁に立ち(立つ?)/ 結束せねば/ 我らは力に屈して敗北する/種族の違いを問わず/たどる運命は同じだ/ フロド 指輪をここへ ★ 吹き替え「「遠い地よりの初めての客人」。「遠来の見知らぬ友よ」では日本語として 問題を感じないのだろうか。 Boromir: So it is true. 本当だった Voice: The doom of man. 指輪だ! 恐ろしい! Boromir: It is a gift. A gift to the foes of Mordor. Why not use this ring. Long has my father, the steward of Gondor kept the forces of Mordor at bay by the blood of our people are your lands kept safe. Give Gondor the weapon of the enemy. Let us use it against him! 授かり物だ /モルドールと闘う者への授かり物だ/ ★★ゴンドールの執政だった父はモルドール軍を退け―/ ★★★我が種族の血で君らの領土(土地)を守った(守ってきた)/ 敵の武器を逆手に取って/奴らをやっつけよう ★★ 「執政だった」と字幕が表示されるために、「ボロミアの父(デネソール公・第2部以降に登場)は 死んだのか」と誤解した観客が非常に多かった。ただでさえ、ここで表現されるゴンドール王国の 「王と執政家の関係」は複雑微妙なところへ、時制の誤訳が重なり、設定を見失ったまま後半に 入っていった観客(=原作未読者)は、一様に「消化不良の映画」という感想を持ったと巷間に 囂しい。ささいな個所ながら重大な失敗。 ★★★ 映画終盤で表示される「our people=『我らが種族』」の誤訳の根はここにある。 中つ国にはハラドやリューン、ウンバール等々「人間の国」は他にも多数あり、ボロミアが 「our people」と発言するときに「人間」(人類)の意味はなく、あくまで「我が民」 (=ゴンドール国民)という限定された意味しかない。 Aragorn: You cannot wield it. None of us can. The one ring answers to Sauron alone. It has no other master. 指輪が言うことをきかん/ 指輪はサウロン以外の主人を持たないのだ Bormir: And would a ranger know of this matter? レンジャーごときに何がわかる Legolas: This is no mere ranger. He is Aragorn, son of Arathorn. You owe him your allegiance. 侮るな(※)/アラソルンの息子 アラゴルンだ/ 忠誠を誓うべき相手だ ※台詞「ただの野伏ではないぞ」。吹き替え「ただのさすらい人じゃない」。 Boromir: Aragorn? This is Isildur's heir? アラゴルン?/イシルドゥアの末裔か Legolas: And heir to the throne of Gondor. ゴンドールの王だ Aragorn: Havo dad, Legolas (Translation:) Sit down, Legolas. 座れ レゴラス Boromir: Gondor has no king. Gondor needs no king. ★★★ゴンドールの王だと?/王など必要ない ★★★ この一行で「ゴンドールという国は存続しているが、王座は空位で、長年執政家が国を護ってきた」 という複雑な背景を表現している大変重要な台詞。この意訳がために、作品背景を理解しそこねた 観客が大勢いる。 ここは「ゴンドールに王はおらぬ」、「ゴンドールに王はいない」のどちらかでなくてはならない。 吹き替え「ゴンドールに王はいない。王は必要ない」。 Gandalf: Aragorn is right. We cannot use it. そうだな/指輪は使えん Elrond: You have only one choice. The ring must be destroyed. 残る道は一つ/指輪を葬るのだ Gimli: Then what are we waiting for?! おれがやってやる(※) ※吹き替え「では早いとこやろうぜ」。台詞「ならば何を待っているのだ?」。 Elrond: The ring cannot be destroyed, Gimli, son of Gloin by any craft that we here possess. The ring was made in the fires of Mount Doom. Only there can it be unmade. It must be taken deep into Mordor and cast back into the firey chasm from whence it came. One of you must do this. やっても無駄だよ ギムリ(※-1)/我々の手では破壊できないのだ/ それを造った火山の炎だけが/それを葬る力を持っている/ モルドールに潜入して/それが生まれた炎の中に投げ込むのだ/ 君らの誰がその使命を?(※-2) ※-1 吹き替えは「グローインの子ギムリよ」ときちんと表現されている。ギムリの台詞回し自体は、 正直字幕/吹き替えとも非常に不満がある。日本語の言葉遣いは、「ドワーフ」の見た目に騙され、 ギムリが名家の出であることを忘れた選択である。 ※-2 何故台詞のままの、「誰かが成さねばならぬ」ではいけないのだろうか。 中止法の乱用で思考が停止する観客の迷惑も考慮して欲しい。 吹き替え「問題は 誰が行くかだ」。 Boromir: One does not simply walk into Mordor. Its black gates are guarded by more than just orcs. There is evil there that does not sleep. And the great eye is ever watchful. 'Tis a barren wasteland, riddled with fire and ash and dust. The very air that you breathe is a poisonous fume★. Not with ten thousand men could you do this. It is folly. モルドールへ潜入するだと?/黒い門を守るのはオークだけではない/ 眠ることのない悪の力/そして例の”目”が見はっている/ 全土が不毛の大地/火が吹きあげ 灰と埃に覆われている/ 呼吸をすれば有毒ガス★を吸い込む/ 一万の兵を送り込んでも太刀打ちできん ★ 繰り返すが本作品は時代劇である。「有毒ガス」では公害問題のようである。 「有毒の煙/霧」で問題ない。 吹き替え「吸うべき空気も毒に満ちている」。 Legolas: Have you heard nothing that Lord Elrond has said? The ring must be destroyed! エルロンド卿は言われた/指輪を葬れと(※) ※台詞「卿のお言葉を聞いておられぬのか。指輪は砕かれねばならぬ」。 Gimli: . And I suppose you think you're the one to do it?! おまえにならできるのか(※) ※台詞「おぬしがそれを果たすと思えというのか?」。 Boromir: And if we fail, what then? What happens when Sauron takes back what is his? 失敗してもしサウロンが指輪をとりもどしたら Gimli: I will be dead before I see the ring in the hands of an elf! Never trust an elf! ★★(以下全部)だがエルフの手に渡るよりマシだよ!/エルフなど! ★★ ボロミアの 「失敗してもしサウロンが指輪をとりもどしたら」→「だがエルフの手に渡るよりマシだよ!」と 画面が切り替わるため、まるで「ギムリはエルフが指輪を持つよりサウロンの方がましだと 思っている」 かのように見える。 原因は、字幕のみに挿入された「だが」。この二文字である。不注意きわまりない創作と言える。 「エルフが指輪を手にするのを見る前に死を選ぶわ」は、あくまで 「おぬしがそれを果たすと思えというのか?」の続きの台詞であるが、字幕はボロミアの 台詞への続きと誤解したと解釈すると、「だが」の出典の推測がつく。 台詞「エルフが指輪を手にするのを見る前に死を選ぶわ。エルフなぞ信用できるか!」。 吹き替え「エルフに指輪を持たせるくらいなら その前に死んだ方がましだ エルフなど信じるか!」。 ガンダルフ(台詞は無し) 言い争っている時ではない その間にもサウロンは着々と力をつけておるのだ The voice of the ring: Ash nazg durbatuluk, Ash nazg gimbatul, Ash nazg thrakatuluk, Agh burzum-ishi krimpatul (アッシュ ナズグ ドゥルバトゥルーク、アッシュ ナズグ ギムバトゥル アッシュ ナズグ スラカトゥルーク、アグ ブルズム=イシ クリムバトゥル)※ ※原作ファンにはすぐに解るほどはっきり指輪の声(指輪の詩)が聞こえる。 Frodo: I will take it! I will take it! I will take the ring to Mordor! Though.. Though I do not know the way. 僕がやる!/僕がやります!/モルドールへ行きます/ 道は─/わからないけれど… Gandalf: I will help you bear this burden, Frodo Baggins. As long as it is yours to bear. わしも重荷を分かち合おう/お前を見守ってゆく Aragorn: If by my life or death, if I can protect you, I will. You have my sword. 私も君を守る 命を/懸けて―/剣に誓う Legolas: And you have my bow. 僕は弓で戦う (※) ※吹き替え「僕は弓に誓う」。「You have my sword. 」が「剣に誓う」なら、そろえた方がよかったのでは という意見もあり。 Gimli: And my axe. 俺は斧で! Boromir: You carry the fate of us all little one. If this is indeed the will of the council, then Gondor will see it done. 我々の運命は君の肩に/ これが会議の決断なら/ゴンドールは従う(※) ※台詞「我らすべての運命をおぬしが担うのだ、小さい人よ。…もしこれが誠に会議の意志ならば、 ゴンドールはその結末を見とどけるだろう」。「従う」ではボロミアの矜持が消され、 踏み込み過ぎの感がある。しかし、ここは吹き替えも同じ「踏み込みすぎ」。 吹き替え「お前が運命を握るか。それが会議の下した結論なら ゴンドールも従おう」。 微妙は表現は、そのまま微妙な距離感・関係を表している。一様に簡略化するのは好ましくない。 字幕代案「小さな者に運命を委ねる /それが会議の決断なら/ゴンドールは見届けよう」 (たけうち氏訳)。 Sam: Here! Mr Frodo's not going anywhere without me. 俺も行きます(※) ※台詞「おれもです!フロドの旦那は、おれを置いてはどこへも行きませんよ!」 Elrond: No indeed! It is hardly possible to separate you from him, even when he is summoned to a secret council, and you are not. そう  一緒に秘密会議にまでくっついてくる奴だからな(※) ※以下、原作から「You at least shall go with him」 (「少なくともお前はフロドと一緒に行かせよう」)を除き引用されている。 台詞「そうだな。お前をフロドから引き離しておくのは難しいようだ。たとえ秘密会議に 呼ばれたのは彼で、お前は呼ばれていない時でさえ、引き離せないのだから」。 吹き替え「止めるわけにも行かぬだろうな。秘密会議にまでこっそりついてくる奴だ。仕方あるまい」。 Merry: Oi! We're coming too! You'd have to send us home tied up in a sack to stop us. 俺たちも一緒に/縛られても縄をほどいてゆく(※) ※台詞「僕たちも行きますよ! 僕たちを止めたかったら、袋に詰めて 家に送り返しとかなくちゃいけません」。 吹き替え「待った 俺たちも行くぜ! 止めたきゃ袋に詰めて送れよ」。 字幕代案「僕らもだ!/袋詰めにされない限り/ついて行きます 」(たけうち氏訳)。 Pippin: Anyway, you need people of intelligence on this sort of mission quest thing. 頭のいい奴がついてゆかにゃ/だって 大切な/ 旅だろ?(※) ※「ゆかにゃ」節が観賞を阻害する。ピピンはこの中で一番若いのだが。 台詞「とにかく、こういう使命とか、探求とかには、頭のいい者が必要でしょう?」。 吹き替え「「だいたいさ こんな難しい任務には頭のいいのが必要だ。でしょ? 違う?」。 Merry: Well that rules you out, Pip. じゃ、おまえは失格だろ(※) ※「じゃあお前は人数外だ、ピップ」。特に問題はない。 Elrond: Nine companions. So be it! You shall be the fellowship of the ring. 九人の旅の仲間/ いいだろう/”指輪が結ぶ旅の仲間”だ(※) ※吹き替え「九人の旅の仲間…指輪が結ぶ旅の仲間となれ」。字幕は「You shall be」がない。 Pippin: Great. Where are we going? やったぁ/それでどこへ?(※) ※吹き替え「で、どこへ行くんです?」。 ■ビルボの部屋--------------------- Bilbo: My old sword, Sting. Here, take it, take it. 私の剣だ これを持っていけ Frodo: It's so light. 軽い! Bilbo: Yes, yes made by the elves, you know? The blade glows blue when orcs are close, and it's at times like that, my lad, when you have to be extra careful. ★★ Here's a pretty thing. Mithril. As light as a feather, and as hard as dragons scales. Let me see you put it on. Come on... エルフが造った剣だ/ オークがそばに来ると/刃が青く光る/★★(以下) 特に危険に身をさらす旅には―/これを/ミスリルだ/ 羽毛のように軽く ドラゴンのうろこ(傍点)のように丈夫(※) ★★ 理解しての意訳(圧縮)とは思われるものの、「and it's at times like that, my lad, when you have to be extra careful」の掛かっている文節が、字幕ではずれている。 吹き替え「エルフが作ったものだ オークが近くに来ると刃がブルーに輝くその時はフロド、 よいな。十分に用心しろよ」。 ※台詞「そうだ、そうだ。エルフが造った剣だ。知っているだろう? オークが近くにいると 刃が蒼く光る。そんな時にはフロドや、特別気をつけなければならないよ。 それからいいものがあるよ。ミスリルだ! 羽のように軽くて、竜の鱗のように硬い。 着たところを見せておくれ」。 Bilbo: Oh - M-my old ring. Oh! I sh-should very much like - to hold it again, one last time. 私の指輪だ/もう一度…触りたい/これが最後の機会だから Bilbo: I'm sorry I brought this upon you, my boy... I'm sorry that you must carry this burden... I'm sorry for everything! 私のせいでこんな事に/ ★お前にこんな危険な旅を…/私を許してくれ(※) ★ 吹き替え「お前にとんだ重荷を背負わせた」。 ※台詞「許しておくれ、お前にそれを招いたのはわたしだ。フロドや。許しておくれ。 わたしのせいでお前がこんな重荷を……。許しておくれ!」。 ■霧降山脈への旅路の途中----------------- Gandalf: We must hold to this course west of the Misty Mountains for forty days. If our luck holds, the Gap of Rohan will still be open to us, and from there our road turns east toward Mordor. ”霧降山脈”の西側をこのまま40日歩きつづける/ ローハンの谷を運良く抜けられれば/ 道は東へ延び モルドールに至る Boromir: Two, Three, Four, Five. Good. Very good. その調子! Aragorn: Move your feet. 足が重い! Merry: Mmmm, that's good, Pippin. いいぞ Pippin: Thanks. 字幕OUT Boromir: Faster. 字幕OUT Gimli: If anyone was to ask for my opinion, which I note they're not, I'd say we were taking the long way round. Gandalf! We could pass through the Mines of Moria. My cousin Balin would give us a royal welcome. 誰もおれの意見を聞いてくれないが/これはとんだ回り道だよ/ ガンダルフ! 鉱山を抜けようぜ/ モリアの鉱山にいとこ(傍点)いるんだ(※) ※台詞「もし誰かがわたしの意見を尋ねるとしたらですな。我らは少々遠回りしてはおりませんかな、 というところですよ。ガンダルフ、モリアの鉱山を抜けられたではありませんか。我が一族の バーリンが王者のもてなしをしてくれたでしょうに」。 (刈り込むにしても、「持って回った言い方をする人物」として、工夫の余地はないものか) 吹き替え「誰も俺の意見を聞いちゃくれなかったから黙っていたが、こいつはとんだ遠回りってもんだ。 モリアの鉱山を抜けよう。いとこのバーリンが喜んで案内してくれるぜ」。 吹き替えのギムリの台詞回しについては、字幕版と同様不満がある。 Gandalf: No, Gimli. I would not take the roads through Moria unless I had no other choice. いや ギムリ/★あの道はよほどのことがない限り やめた方がいい ★ 台詞「いいや、ギムリ。わしは他に取るべき道があるかぎり、モリアを通ろうとは思わんよ」。 吹き替え「いや、モリアの鉱山を抜けるのは 取るべき道がそれしかない時じゃ」。 Pippin: Ahhh. Bormir: Sorry. すまん! Pippin: Get him! やれ メリー! Merry: Arr, ow, etc. For the Shire! Hold him, hold him. He got my arm, he got my arm Sam: What is that? あれは? Gimli: Nothing, it's just a wisp of cloud. ただの雲さ Boromir: Well, it's moving fast. Against the wind. すごい速さだ 逆風なのに Legolas: Crebain from Duneland. ”クリバイン”だ!(※) ※台詞「焦茶の国から来たクレバインだ」。 Aragorn: HIDE, ... 隠れろ! Gandalf: Spies of Saruman. The passage south is being watched. We must take the pass of Caradhras サルマンのスパイだ/南へ行くのは危険だ/ カラズラスの峠へ Aragorn: Boromir. ボロミア Boromir: It is a strange fate that we should suffer so much fear and doubt over so small a thing. Such a little thing. 不思議だな こんな小さな物が 我々に恐怖と疑いをもたらす/ こんな小さな物が Aragorn: Boromir! Give the ring to Frodo. ボロミア!/指輪をフロドに返せ Boromir: As you wish. 返すよ Boromir: I care not. そんな指輪! Saruman: So Gandalf, you try to lead them over Caradhras. And if that fails. Where then will you go? If the mountain defeats you, will you risk the more dangerous road? ガンダルフ カラズラスの峠を越えるか/ 失敗したら―/次はどこへ?/ 山の力に負けたら/更なる危険が待っている(※) ※台詞「カラズラスの峠に挑むか、ガンダルフ……。失敗したら、次はどこへ行く? 山がおのれを 打ちのめせば、より危険な道を取らねばなるまいぞ……」。 吹き替え「ガンダルフめ カラズラスの峠を越えるか 越えられなければ 次はどこへ行く? 山の力に負ければ 更なる危機に立ち向かわねばならぬぞ」。 Legolas: There is a fell voice on the air. 気味の悪い声だ(※) ※台詞「大気に恐ろしい声が満ちている」。吹き替え「呪いの言葉が聞こえる」。 Gandalf: It's Saruman! Aragorn: He's trying to bring down the mountain! Gandalf! We must turn back! 山を崩す気だ!/ガンダルフ 戻ろう! Gandalf: No!! いかん! Gandalf: ★この台詞後のガンダルフのエルフ語呪文は、吹き替えでは丁寧に声が当てられているが、 字幕はOUT処理されており、字幕版日本人観客には場面意図が解りづらくなっている。 この呪文・原意は「theonering.net」で公開されている。 (「カラズラスよ静まれ」と呼びかけている) Saruman: ★サルマンのエルフ語呪文は、吹き替えでは丁寧に声が当てられているが、字幕はOUT処理 されており、字幕版日本人観客には場面意図が解りづらくなっている。この呪文・原意は 「theonering.net」で公開されている。 (「怒れカラズラスよ」と呼びかけている) Boromir: We must get off the mountain! Make for the Gap of Rohan! Or take the west road to my city! 早く山を降りよう/ ローハンの谷から西を目指し/俺の町へ出よう(※) ※個人的にこの「俺の『町』」が目に突き刺さった。「我が都」が場面的にそぐわないと 判断するのならば、せめて「街」として欲しい箇所。 Aragorn: The Gap of Rohan takes us too close to Isengard. その道はアイゼンガルドに近過ぎる Gimli: If we cannot go over the mountain, let us go under it! Let us go through the Mines of Moria. 山を越えられなきゃ 地下に潜って/ モリアの坑道を抜けよう Saruman: Moria. You fear to go into those mines. The Dwarves delved too greedily and too deep. You know what they awoke there in the darkness of Khazad-dum. Shadow, and flame. モリア あの恐ろしい坑道に入る気か ★★-1強欲なドワーフどもが巣食っているあそこへ?/ ★★-2カザド・デュムの暗い地底 奴らの力で目覚めている/影と―/炎が ★★1-2 まず、「サルマンがガンダルフに語りかけている台詞」ということが表現されていない。 さらに台詞「ドワーフどもはあまりに貪欲に、そして深く掘りすぎた」。それがために 「ドワーフたちがカザド=デュムの地底で目覚めさせた…影と…焔。それをお前は知っている……」。 この字幕ではまるで「恐ろしいのは強欲なドワーフども」のようである。 (字幕製作者は設定の事実関係を把握していない?) 吹き替え「モリア? あの恐ろしい地下を行くか。強欲なドワーフが地中深く巣くっていた。 奴らがカザド=ドゥムの闇で目覚めさせたもの。影と炎だ」。 「巣くっている」か「巣くっていた」かの違いで、文脈に差が出ている。 Gandalf: Let the Ring-bearer decide Frodo. 指輪を持つ者に決めさせよう Frodo: We will go through the mines. 坑道を抜けよう Gandalf: So be it. 決まりだ Gimli: The walls of Moria. あれが”モリアの壁”だ Gandalf: Now, lets see... Ithildin. It mirrors only starlight and moonlight It reads: The doors of Durin, Lord of Moria. Speak friend and enter. ★★どうやって入るんだ/”イシルディン”だ 星と月の光に浮かび上がる/ ”モリアの領主” ”デューリンの扉”/”唱えよ友 そして入れ” ★★ 「Now, lets see...」の翻訳としては異様におかしい。 台詞「さあて、見てごらん。イシルディンじゃ」。 吹き替え「さてと 入り口は イシルディンか」。 Merry: What d'you suppose that means? その意味は? Gandalf: Oh, it's quite simple. If you are a friend, you speak the password, and the doors will open. Annon Edhellen edro hi ammen! (Translation: Gate of the Elves open now for me! ) 友なら合言葉を唱えれば入れるということだ (呪文は字幕なし) Ando Eldarinwa a lasta quettanya, Fenda Casarinwa! (Translation: Gate of Elves listen to my word, Threshold of Dwarves!) Aragorn: The mines are no place for a pony. Even one so brave as Bill. こんなに勇敢な馬ビルでもこの先は無理だ Sam: Bye bye, Bill. さよなら Aragorn: Go on, Bill. Go on. Don't worry Sam. He knows the way out. さあ行け ビル/大丈夫 ちゃんと家に帰るさ Aragorn: Do not disturb the water. やめろ 危険だ Gandalf: Oh, it's useless. 字幕OUT(※) ※吹き替え「ええい 駄目だ」。 Frodo: It's a riddle. Speak friend, and enter. What's the elvish word for friend? わかったぞ/”唱えよ 友”/友と言うんだ/エルフ語で友達は?(※) ※吹き替え「なぞなぞだ 唱えよ友 そして入れ エルフ語で友達は何?」。 Gandalf: Mellon. メルロン Gimli: Soon Master Elf, you will enjoy the fabled hospitality of the dwarves! Roaring fires, malt beer, red meat off the bone! This, my friend, is the home of my cousin Balin. And they call it a mine. A MINE! じきにもてなし好きのドワーフが歓迎に訪れるぞ/ 勢いよく燃える火 モルト・ビール、骨付きの肉/ いとこのバーリンに紹介しよう/ 鉱山とは思えないだろ りっぱなもんだ(※) ※台詞「すぐに謡に名高いドワーフの歓待を受けられますぞ、エルフ殿! 燃えさかる火、麦酒、 骨つきの赤身! これなるは我が一族バーリンの館。それを人は坑道と呼ぶ。坑道だと!」。 哀れギムリ。もって回った言い方が個性とは認めてもらえず、片端から台詞を削られ、個性も失せている。 (さらに「cousin」を一律「従兄弟」と訳すのはやめてほしいとの指摘もファンからあった。 正確に表記すれば「従兄弟小父」。ギムリの父グローインとバーリンが従兄弟同士にあたる) Boromir: This is no mine. It's a tomb. ここは鉱山じゃない 墓場だ Gimli: No! Nooo! NOOOO! 字幕OUT Legolas: Goblins! オークだ!(※) ※よく言われるが、ここは原作中でも「オークもゴブリンもほぼ同義語として使用されている」ため、 個人的には気にならない。 (以下個人的忘備録。エルフ語でオークを意味する単語は「orch」(オルフ)、複数形は「yrch」 (イルフ)、共通語が「orcs」) Boromir: We make for the Gap of Rohan. We should never have come here! Now get out of here! Get out!! ローハンの谷へ!/来たのが間違いだ/逃げよう 早く! Someone: Frodo! フロド! Sam: Strider!! Get off him! ストライダー! やめろ! Unknown: Aragorn!! アラゴルン! Gandalf: Into the mines!! 中へ! Boromir: Legolas! Into the mine (or cave)! レゴラス 逃げろ!(※) ※吹き替え「レゴラス 早く中へ入れ」。 Gandalf: We now have but one choice. We must face the long dark of Moria. Be on your guard. There are older and fouler things than orcs in the deep places of the world. 先へ進むほかない/どこまでも続くこのモリアの坑道を行くのだ/ 気を許すな/地底にはオークより太古から生きとる/恐ろしい奴らがいる(※) ※台詞「これで選ぶ余地はなくなった。わしらの前には暗く長いモリアがある。用心するのじゃぞ。 この世の深い所にはオークより古く、より悪しきものがいる」。 Gandalf: Quietly now. It's a four day journey to the other side. Let us hope that our presence may go unnoticed. ここを抜けるには4日かかるだろう/気づかれぬよう音を立てるな(※) ※後半台詞「わしらの入ったことが気づかれぬことを祈ろう」。 Merry: Pippin! ピピン Gandalf: I have no memory of this place. この場所は記憶にない Pippin: Are we lost? きっと迷ったんだよ★-1 Merry: No 彼が考える★-2 ★1-2 台詞「迷子になったの?」「違うよ」のままの方が、台詞との違和感に悩まずに済む。 Pippin: I think we are. (※) ※台詞「迷子なんだと思うな」。 Merry: Shhh Pippin: Merry メリー Merry: What? Pippin: I'm hungry. 腹がへった Frodo: There's something down there. 下に誰かいる Gandalf: It's Gollum. ゴラムだ Frodo: Gollum? ゴラム? Gandalf: He's been following us for 3 days. 3日前からつけて来とる Frodo: He escaped the dungeons of Barad-Dur? サウロンの牢獄から脱走を?(※) ※バラド=ドゥア抹消。 Gandalf: Escaped. Or set loose. He hates and loves the rings. As he hates and loves himself. He will never be rid of his need for it. あるいは―/わざと放たれたか/ 奴は自分への愛憎と同様 指輪に愛憎を持っており/ そして我々を追ってくる Frodo: It's a pity Bilbo didn't kill him when he had the chance. ★★ビルボが殺してれば ★★ 次のガンダルフの台詞に掛かる「情けない」が落ちている。 Gandalf: Pity? It was pity that stayed Bilbo's hand. Many that live deserve death. Some that die deserve life. Can you give it to them, Frodo? Do not be too eager to deal out death in judgement. Even the very wise cannot see all ends. My heart tells me that Gollum has some part to play yet, for good or ill before this is over. The pity of Bilbo may rule the fate of the ring. When all this is over, the pity of Bilbo may rule the fate of many. 情けだよ 情けがビルボの手を止めた/(以下全部※) 死ぬべき者が生き 生きるべき者が死ぬ/ その判断は誰が下す?★/ 軽率に命を奪ってはならぬ/ 賢者とて未来は読みきれぬ/ あのゴラムも 善か悪かはわからぬが役目をもっておる/ この先いつの日かビルボの情けが大勢の運命を変える ★ 吹き替えでは「おまえにそれが決められるか?」。 「誰が」ではなく「おまえが」が、後々重要のはずである。(第2部でこの台詞が再び登場する場面が ある) ※対応する原書の台詞は、モリアの章ではなく「旅の仲間」第2章「過去の影」から引用されている。 続編に続く重要な台詞、というより作品の基調音。 台詞「情けないだと? ビルボの手をとどめたのは、その”情け”だったのだ」 「生きる者の多くは死に値するし、死ぬ者のいくたりかは生きてしかるべき者だ。 だがお前は彼らに命を与えられるか? 性急に生死の判断を下してはならぬ。 賢者でさえ全てのことの行く末は見通せんのじゃ。わしにはゴクリ(ゴラム)にも、 良きに付け悪しきに付け、この件が終わる前に、なんらかの役目があると思えるのじゃ。 ビルボの情けが多くの運命を決めることになるのではないかという気がする」 Frodo: I wish the ring had never come to me. I wish none of this had happened. ★★-1僕が指輪をもらわなければ…/★★-2こんな旅にも出ず…(※) ★★1-2 この部分の「誤訳指摘」は、映画終盤の同一台詞を参照。 台詞「指輪がぼくのところへ来なければよかったのに。こんなことが起きなければよかったのに」。 ※この台詞は原作の「過去の影」中、「I wish I had never seen the Ring! Why did it come to me?」 と、そこより少し前の「I wish it need not happened in my time.」の合体変形引用。 Gandalf: So do all that come to see such times, but that is not for them to decide. All we have to decide is what to do with the time that is given to us. There are other forces at work in this world, Frodo, than the will of evil. Bilbo was meant to find this ring. In which case you were also 'meant' to have it. And that is an encouraging thought. Eh - it's that way. つらい目に遭うと皆そう思うが 迷っても遅い/ それより大切なのは 今自分が何をすべきかを考えることだ/★★★(※以下全部) 善悪の力に加えて この世では運命の力が働いている/ ビルボは指輪を見つけ お前はそれを譲り受ける運命だったのだ/ そう思えば納得できる/ああ あっちだ ★★★ 大誤訳である。どれ程大誤訳なのかは、下記台詞直訳及び末尾の指摘を参照のこと。 「名台詞」として有名なものを卑俗にしいている。 「辛い目にあう」のではなく、「暗い時代に生まれついたものは」であり、「迷っても遅い」 のではなく、「どの時代に生まれるかは誰にも決められない」のである。 何としても修正してほしい字幕の一つ。 台詞「こんな時代に生まれついた者は皆そう思うだろう。だが、それ(=such times。 「どの時代に生まれるか」)は我々が決められることではない。決めねばならぬのは、 与えられた時代に何をするかじゃ。この世には作用している力がいくつもある。フロド、 邪悪な意志よりもな。ビルボは指輪を見つけるべくして見つけ、従ってお前も指輪を持つべくして 持っているのだ。そう考えれば希望も持てよう」。 ※原作該当台詞「'So do I' said Gandalf, 'and so do all who such times. But that is not for them decide. All we have to decide is what to do with the time that is given us. '」。 Merry: He's remembered. 良かった(※) ※台詞「(ガンダルフが)思い出したよ」。次のガンダルフの「No, but the air doesn't smell so foul down here. 」はこの台詞を受けている。(個人的には許容範囲) Gandalf: No, but the air doesn't smell so foul down here. If in doubt, Meriadoc, always follow your nose. Let me risk a little more light. こっちの道は臭くない 道に迷った時は鼻をきかせることだ/ ★★危険だが灯りが必要だ ★★ 「危険だが灯りが『必要』」なのではなく、「危険だが灯りを少し強くしよう」である。 (皆にドワローデルフを見せるために灯りを強くする場面) Gandalf: (英語台詞書き取り漏れ) 見ろ ドワーフの壮大なる地下宮殿 ドワローデルフだ Sam: Well there's an eye opener, and no mistake. こりゃ すごいや(※) ※「こりゃあ、間違いなく見物です」。問題なし。 Gandalf: Gimli! ギムリ! Gimli: No! Oh - no! No. まさか…/まさか… Gandalf: Here lies Balin, son of Fundin, Lord of Moria. He is dead then. It is as I feared. ”故バーリン” ”フンディンの息子” ”モリアの領主”/ 没したか やっぱり…(※) ※原作ではフロドの台詞。フロドの台詞なら「やっぱり」でも構わないが、ガンダルフである以上 「やはり」を希望。 Legolas: We must move on. We cannot linger. 急がねば 危険が迫る Gandalf: They have taken the bridge and the second hall. We have barred the gates but cannot hold them for long. The ground shakes. Drums, drums in the deep. We cannot get out. A shadow moves in the dark. We cannot get out. They are coming. ”オークは橋を渡り 第二の広間を占領した”/ ”門を固く閉じたが 彼らをふせげなかった”/ ”大地が激しく震え”/”地底より”/”太鼓の音が響き渡った”/ ”もう逃げ道はない”/”闇の中で影がうごめく”/ ”もう逃げ道はない”/”奴らが来る”(※) ※該当する邦訳に「今やかれら至れリ。われら出ずること能わず」という名訳あり。 Gandalf: Fool of a Took! Throw yourself in next time, and rid us of your stupidity. ★★何という間抜け/今度はお前が井戸に落ちるがいい(※) ★★ 愛情のこもった罵り言葉として、ファンの非常に多いガンダルフの名台詞。直訳「馬鹿者トゥックが!」。 字幕では味わいがまったく出ていない。 ※台詞「次にやる時は自分を投げ込め、そうすりゃ我々もお前の馬鹿さ加減におさらばできる」。 Sam: Frodo! Legolas: Orcs! オークだ! Aragorn: Get back! Stay close to Gandalf! ガンダルフのそばへ! Boromir: They have a cave troll. トロールもいる Gimli: Let them come! There's one dwarf yet in Moria that still draws breath. 来い! ドワーフは全滅しとらんぞ(※) ※台詞「かかってこい! モリアのドワーフはまだ一人生きているぞ!」。 吹き替え「さあ来い! モリアのドワーフはまだここに一人残ってるぞ」。 Sam: I think I'm getting the hang of this! ★かかってこい! ★ 独り言につき、ここは吹き替え版の「俺って強いかも」のほうが、意訳としては的確。 台詞「こつが掴めてきたぞ!」。 Aragorn: Frodo! フロド! Frodo: Aragorn! アラゴルン! アラゴルン! Sam: Frodo! FRODO!! フロド! Aragorn: Oh no. しっかり…★★ ★★ 「死んだ」と思って発した台詞「Oh no. 」が字幕で「しっかり」になっており、後続の場面が 一気に滑稽になってしまった。一文で後続の芝居を壊した罪の重い字幕。 吹き替えは声を当てていない。 Sam: He's alive. 生きてます Frodo: I'm alright. I'm not hurt. 大丈夫 無事だよ Aragorn: You should be dead. That spear would have skewered a wild boar. 死んだかと あの槍の一突き(※) ※吹き替え「あの槍で突かれて生きているとは」。 台詞「死んでしまったと思っていた。あの槍では猪とて串刺しだろうに!」。 「あの槍を受けて」ぐらいにしてもらわないと、観賞中字幕の解読「で」悩んでしまう。 Gandalf: I think there's more to this hobbit than meets the eye. ★★ホビットがこんなにしぶといとは ★★ 台詞「このホビットにはわしらの目に見えている以上のものがあるぞ」。 (映画中、そのような示唆は一切ないにも関わらず)字幕は一貫して「ガンダルフがホビットに 対してむやみに侮蔑的」であり、非常に不愉快である。 吹き替え「まさに奇跡じゃ いつの間に魔法を覚えた」。 Gimli: Mithril! You are full of surprises, Mr Baggins! ミスリルか お前には驚かされるよ(※) ※「バギンズ殿」の語感が飛んでいる。台詞「ミスリルとは! あんたには驚かされるよ、 バギンズ殿!」。 吹き替え「お前さんには驚かされっぱなしだ」。 Gandalf: Quick! To the bridge of Khazad-dum! 早く橋へ(※) ※カザド=デュム抹消。但しここは吹き替えも「橋へ急ごう」。 ここで「the bridge of Khazad-dum!」と固有名詞が出てくるのは、まさにモリア内での 「the bridge」だからである。 Boromir: What is this new devilry? 今度は何の化け物だ? Gandalf: A balrog. A demon of the ancient world. The foe is beyond any of you. RUN! ”バルログ”だ/古代に生まれた悪鬼/お前らの手にはおえぬ 走れ! Aragorn: Gandalf! Gandalf: Lead them on Aragorn. The bridge is near. Do as I say! Swords are no more use here! お前が導け アラゴルン/あれが橋だ/ 早く行け!(※)/剣はもう役に立たぬ ※台詞「言う通りにせい!」。 Legolas: Gandalf. ガンダルフ Boromir: Merry! Pippin! メリー! ピピン! Aragorn: Sam. サム Gimli: Nobody tosses a dwarf. おれを投げるなよ(※) ※「ドワーフを投げてはならん!」。昔イギリスにあった「ドワーフ投げ」にかけているらしい。 Gimli: Not the beard!!! ★★髭を放せ ★★ 台詞「髭をつかむな!」。髭を放したら墜落して死んでしまうので、この訳はかなりお粗末。 吹き替え「わあ! ヒゲはよせ」。 Unknown: Gandalf! Unknown: Hold on(?) 動くな! Unknown: Hang on(?) 落ちるな! Aragorn: Lean forward. 前へ Gandalf: Over the bridge! Fly! 橋を渡れ Gandalf: You cannot pass! 下がれ! 通さんぞ Frodo: Gandalf!!! ガンダルフ! Gandalf: I am a servant of the Secret Fire, wielder of the flame of Anor! The dark fire will not avail you, flame of Udun! Go back to the shadow!! YOU SHALL NOT PASS!!! わしは生命の創造主★★-1 秘密(アノル)の炎につかえる者だ!★★-2/ お前の穢れた火などには屈せぬぞ/闇の世界へ戻れ/(※) ここは通さぬぞ! 決して! ★★-1 「生命の創造主」完全創作の上に設定が間違っている。 (ガンダルフの直接のあるじは創造神エルではなく、その下に使えるヴァラール) ★★-2 「アノル」の意味は「太陽」。創作過剰で不愉快な字幕。 「アノール」という単語は、続編でも「ミナス・アノール」などの地名として登場する。 ※台詞「わしは神秘の火のしもべ、アノールの焔の使い手だ! ウドゥンの焔よ、 お前の暗黒の火はわしに対して役には立たぬ! 闇へ帰れ!」。 (但し、ウドゥン割愛については、三部通しても支障はあまりないと思われる) Boromir: No! 行くな! Frodo: No! GANDALF!!! ガンダルフ! Gandalf: Fly, you fools. ★★早く行け ★★ ここも「愛情のこもった罵り言葉」として、ガンダルフという人物を端的に現している名台詞。 日本人にもこの台詞のファンは多い。 直訳の「逃げろ/ばか者ども」でも、字数的にさほど問題はないかと思われる。また、一部 「foolsって言ってましたよね。何で?」と、字幕の差異から逆に台詞の「愛情のこもった罵り言葉」 を取り違えた観客も居た。 吹き替え「ゆけ! ばか者」。 Frodo: NO!! NO!!!! Boromir: Aragorn! アラゴルン! Aragorn: Legolas. Get them up. レゴラス 皆を立たせろ Boromir: Give them a moment for pity's sake 少し休ませてやれ(※) ※確かに「for pity's sake 」で「頼むから」。となるとここは問題なし。 吹き替え「せめてもう少し休ませてやれ」。 Aragorn: By nightfall these hills will be swarming with orcs. We must reach the woods of Lothlorien. Come Boromir, Legolas, Gimli, get them up. On your feet, Sam. Frodo! Frodo!! 日暮れと共にオークが現れる/ロスロリアンの森へ/ ボロミア/皆を立たせろ/ さあ立て サム/フロド/フロド! ■ロリアン------------------------- Gimli: Stay close, young hobbits. They say that a great sorceress lives in these woods. An elf witch of terrible power. All who look upon you fall upon her spell. お前たち離れるな/魔女が住むと言われてる森だ/ エルフの魔女だ/恐ろしい力を持ってる/彼女を見たものはその術にかかり― Voice: Frodo. Gimli: And are never seen again. この世に戻れん Voice: You are coming to us... is as the footsteps of doom... You bring great evil here, Ring-bearer. 運命がお前をここに導いた/指輪を持つお前は災いをもたらす Sam: Mr Frodo? Gimli: Well, here's one dwarf she won't ensnare so easily. I have the eyes of a hawk and the ears of a fox. このドワーフは魔女めの妖術などにひっかからんぞ/ 俺には鷹の目とキツネの耳がある Gimli: Oh... Haldir: The dwarf breathes so loud we could have shot him in the dark. ★★デカイ声だな 暗闇でも射殺せる ★★ 「デカイ」ではハルディアの人格破壊である。彼はアメリカ青年ではなく、種族的には闇の森の エルフ族より格上の、ロリエンのエルフ一族である。 台詞「ドワーフの息は騒々しくて、暗闇でも射抜けるほどだ」。 吹き替え「おまえの息なら暗闇でも射殺せる」。 Aragorn: Haldir o Lrien. Henion an?on, boe ammen i dulu l?. Boe ammen veriad l?. (Translation:) Haldir of Lorien. We come here for help. We need your protection. ハルディア/君らの助けが欲しい/我々を守ってくれ Gimli: Aragorn! These woods are perilous. We should go back! アラゴルン! この森は危険だ 引き返そう Haldir: You have entered the realm of the Lady of the Wood. You cannot go back. Come, she is waiting. 森の奥方(おくがた)の土地に立ち入った者は元には戻れん/(※) 来い/奥方がお待ちだ ※台詞「You cannot go back. 」を、ギムリの台詞「And are never seen again.」から 脚色しすぎた様子。 ■ロリエンのフレト----------------------- Celeborn: Eight that there are here, yet 9 there were set out from Rivendell. Tell me, where is Gandalf, for I much desire to speak with him. 9人で出発したと聞いたが 8人しかおらぬな/ ガンダルフはどこだ 彼と話したいことがある Galadriel: He has fallen into shadow. The quest stands upon the edge of a knife. Stray but a little, and it will fail to the ruin of all. 闇の世界へ落ちたのね/ うすい刃の上を渡るような旅/少しでも足を踏み外せば/皆 奈落に落ちる Galadriel: Yet hope remains while company is true. でも旅の任務を果たす気なら まだ望みはあります Galadriel: Do not let your hearts be troubled, go now and rest, for you are weary with sorrow and much toil. Tonight, you will sleep in peace... ひとまず心配は忘れ/ゆっくり休みなさい/旅の疲れと悲しみを癒すのです/ 今宵はよく休み... (Voice of Galadriel): Welcome, Frodo of the Shire, one who has seen the eye! あなたを歓迎します/シャイアのフロド/”目”を見た若者よ Legolas: A lament for Gandalf. ガンダルフを悼んでる Pippin: What do they say about him? 彼のことを何と? Legolas: I have not the heart to tell you. For me the grief is still too near. 口にはできない/悲しみが増すから Aragorn: Take some rest. These borders are well protected. 少し安め/ここは守られている Boromir: I will find no rest here. I heard her voice inside my head. She spoke of my father and the fall of Gondor. She said to me, even now there is hope left. But I cannot see it. It is long since we had any hope. My father is a noble man, but his rule is failing. And then our... our people lose faith. He looks to me to make things right, and I, I would do it. I would see the glory of Gondor restored. Have you ever seen it, Aragorn? The white tower of ecthelion. Glimmering like a spike of pearl and silver. Its banners caught high in the morning breeze. Have you ever been called home by the clear ringing of silver trumpets? 俺には休めない/★★※(以下全部) 頭に奥方の声が…/父のこと/ゴンドールの滅亡/ /彼女は言った/“復興の望みは残されている”と/ そんな望みがどこに?/とっくに潰えた望みだ/ 父は高潔な執政官だ/だがその統治は困難が多く─/民の信頼を失った/ 父の意志をつぎ復興させたい/ ゴンドールに再び栄光を/ 君には見たことがあるか…?/エクセリオンの白い塔を/ 真珠と銀のように光り輝き―/朝風に旗がはためいている/ 銀のトランペットが―/家路につく時を知らせる ★★※ ここの長台詞は酷い。大事な背景説明をずたずたにしている。これではまるでゴンドールが すでに滅亡し、ボロミアは「消滅した祖国を復興させたい」と願っているようだ。 (実際は「往年の力を失い、衰退しつつある祖国を復興させたい」のであって、もちろん ゴンドールは対モルドールの最前線で健在である) また、ここの台詞をしっかり把握すれば、ボロミアの口にする「our people ( my people )」が 唯一「ゴンドール国民」を示していることは、すぐにわかる。 Aragorn: I have seen the white city. Long ago. あの白い都は見た/はるか昔に Boromir: One day our paths will lead us there. And the tower guard shall take up the call. For the Lords of Gondor have returned. いつか君と共にあそこへ戻ろう/ 塔の見張りがこう叫ぶ/ゴンドールの王が戻られた!と★★★※ ★★★ 本編中最大の誤訳箇所。 ボロミアはあくまで「Lords」と述べており、それは「自分とアラゴルン」というゴンドールの 諸卿を指している。 ここで「king」という単語を使わないことこそが、この映画の終盤への伏線であるにも関わらず、 字幕は不用意な単語で作品を壊した。 吹き替え「いつの日にか、共に都へ帰ろう 塔の衛兵が俺たちを見て叫ぶ ゴンドールの救い主が 戻られたと」。こちらは「映画としての仕掛け」にきちんと配慮がなされている。 ※台詞「いつか我らの道は都へむかうだろう。そしてそして塔の見張りが叫ぶのだ。ゴンドールの 諸卿が戻られた、と」。 Galadriel: Will you look into the mirror? 水鏡を覗いて Frodo: What will I see? 何が見えるんです? Galadriel: Even the wisest cannot tell. For the mirror shows many things. Things that were, things that are, and some things that have not yet come to pass. 賢人も答えられないわ/ 色々なものが/映しだされるから/ ★★過ぎ去った過去/そして現在/そして時には―/今から起こること(※) ★★ 「過ぎ去った過去」というのは日本語だろうか。 ※台詞「過去に起きたこと、現在あること、そして、未だ起こっていないことさえも」。 文意が大幅に違うと思うのだが……。 Galadriel: I know what it was that you saw. For it is also in my mind. It is what will come to pass if you should fail. The fellowship is breaking . It has already begun. He will try to take the ring. You know of whom I speak. One by one it will destroy them all. 恐ろしい光景が?★★-1/私も心の目で見たわ★★-2/ 使命を果せないと─★★-3/そうなる/ 旅の仲間はもうすでに分裂を始めている/ あの男は指輪を狙っている★★-4/ 誰か分かるわね?★★-5/(※) 一人ずつ指輪は彼らを滅ぼす ★★1-5 台詞 「わらわはそなたが何を見たか承知しています」 「それはわらわの心の中にもあるからです」(以上原作と同一文) 「それはもしあなたが失敗したなら、起こるであろうこと……」 「彼は指輪を取ろうと試みるでしょう」 「そなたば、わらわが誰のことを話しているかわかりますね」 過剰な断定創作文は控えて戴きたいと切望する。字幕の独断で幾人もの登場人物が犠牲になっている。 ※奥方、この台詞全体で性格を壊されている。さらにボロミアも一方的に悪人にされている。 Frodo: If you ask it of me, I will give you the one ring. 奥方がお望みなら指輪は差し上げます Galadriel: You offer it to me freely. I do not deny that my heart has greatly desried this. In the place of a dark lord, you would have a QUEEN! 私の手にその指輪を?/否定はしないわ/私もその指輪が欲しい/★★(※以下全部) 冥王にかわって私が女王に/ ★★ 台詞「そなたはわらわにそれを自由にせよといわれる。わが心がそれをいたく望んでまいったことを、 わらわは否定はをいたしませぬ。そしてそなたは冥王に代わって女王を得ようという!」。 (原作の該当台詞中、「you will set up a queen.」→「you would have a QUEEN! 」が違うのみ)  遠回しな表現を直裁にし、人物像を壊しているいつもの例。 NOT DARK, BUT BEAUTIFUL AND TERRIBLE AS THE DAWN! TREACHEROUS AS THE SEA! STRONGER THAN THE FOUNDATIONS OF THE EARTH! ALL SHALL LOVE ME AND DESPAIR. 闇に代わって光りを放ち/暁のように残酷に/(以下※) 海のように油断ならない/ そして大地のように揺るがぬ基盤をきずこう/ すべての者よ 私を敬い絶望せよ/ ※台詞 「闇ではなく、暁のように美しく戦慄すべき女王を!」。 「海のごとく裏切りの危険に満ちた!」 「大地の礎よりも尚力強い!」 「総てのものはわたくしを愛し、そして希望を失うであろう!」 (原作の「as the Morning and the Night!」→「as the Dawn!」など、微妙に刈り込みが されている) I pass the test. I will diminish, and go into the west, and remain Galadriel. ★★-1試練に勝った!/★★-2私はエルフの故郷(ふるさと)で暮らします/ガラドリエルのままで ★★-1 ここはあくまで試練に「耐えた」のであり、「勝った!」は唐突すぎる。吹き替え版は 「試練に耐えられた」を採用している。 ★★-2 第3部で重要になる「西へ去りましょう」が抹消され、「エルフの故郷で暮らします」と 意訳されている。この作品は3部作であり、一時的な分かりやすさを目差すことは、伏線消去につな がる。 Frodo: I cannot do this alone. 僕一人ではとても Galadriel: You are a Ring-bearer, Frodo. To bear a ring of power is to be alone. This task was appointed to you, and if you do not find a way, no one will ★指輪を授かった者は―/その重荷に/一人で耐える/ それがあなたに課せられた使命/それを果たせるのはあなただけ ★ 授かったわけではない。 台詞「指輪の担い手は」。吹き替え「そなたは指輪を身に帯びた」。 Frodo: Then I know what I must do, it's just, I'm afraid to do it. よくわかっています/でも─/とても恐いんです Galadriel: Even the smallest person can change the course of the future. 小さな一人が未来を変えられるの  ■オルサンク------------------------ Saruman: Do you know how the orcs first came into being? They were elves once, taken by the dark powers, tortured, and mutilated. A ruined, and terrible form of life. Now, perfected. My fighting Uruk-Hai. Whom do you serve? オークがどのようにして生まれたか知っているか?/ 彼らはエルフだった/だが暗黒の力にとらわれ/拷問され 体を引き裂かれ/ 正視出来ぬような恐ろしい姿となった/ わしが完璧な姿にした/わしの頼もしいウルク−ハイよ お前の主人は? Lurtz (A Uruk-Hai): Saruman. ご主人はサルマン様 Saruman: Hunt them down! Do not stop until they are found. You do not know pain, you do not know fear. You will taste man flesh! One of the Halflings carries something of great value. Bring them to me alive and unspoilt. Kill the others. 奴らを追いつめて捕らえよ!/ 痛みと恐れを知らぬ者たちよ 人間の肉の味を知れ/ ★★貴重な物を持つホビットは/危害を加えず 生きたままここへ/ 残りは殺せ! ★★ 台詞「ホビットの一人が貴重なものを持っている。ホビットは皆生きたままここへ」。 この字幕では「フロドだけを狙え」という意味になってしまい、最後の場面で何故メリーとピピンが 拉致されたのかわからない。 ■銀筋川--------------------------- Galadriel: Farewell, Frodo Baggins. I give you the light of Earendil, our most beloved star. Namarie. さよなら フロド・バギンズ/お別れに/★★-1あなたにエレンディルの光を/★★-2気をつけて ★★-1 「エアレンディル」が「エレンディル」と別人の名前になっている。「エレンディル」は 本作品でも冒頭で出演しているイシルドゥアの父であり、「エアレンディル」は現在星として 空をゆく伝説の(エレンディル/イシルドゥア/アラゴルンの先祖の一人でもある)人物名。 単純明快な誤訳。 ★★-2 「Namarie」(さらば/さようなら=Farewell)は、エルフ語のなかでも他場面で使用されている シンダリンとは別のクウエンャ語。そのため、あえて英語字幕もない処理をされていると推測される。 また語意に「気をつけて」は一切なく、誤訳としか解せない。 Voice of Galadriel: May it be a light for you in dark places, when all other lights go out. 暗闇に迷いすべての光が消えても/その光があなた(の行く先)を照らすでしょう(※) ※「May it be 」の語感がないので違和感あり。台詞「全ての光が消え失せた暗闇の中でも、 これがあなたの光となりますように」。 (これは原作のガラドリエルの台詞そのままである) ■アンデュイン--------------------- Aragorn: Frodo. The Argornath. Long have I desired to look upon the Kings of old. My king. フロド アルゴナスの石像だ/伝説の古代の王にやっと会えた 私の先祖だ Aragorn: We cross the lake at nightfall, hide the boats, and continue on foot. We approach Mordor from the north. 湖を渡るのは夜だ/ボートを隠して徒歩で/北からモルドールへ Gimli: Oh yes? Just a simple matter of finding our way through Emyn Muil? An impassable labyrinth of razor sharp rocks? And after that, it gets even better! Festering, stinking marshlands, as far as the eye can see. エミン・ムイルの山は楽しいぞ/ 切り立った迷路のような岩山だからな/その後はもっと楽しい/ 腐った臭気を漂わせる見渡す限りの沼地だ ※恒例となったギムリの台詞改変。 台詞 「さよう、エミン・ムイルを抜ける道を見つけるのは簡単な問題ですな? 切立った岩の抜けられない迷路、そのあとにはもっと道が良くなる! 見渡すかぎりの腐敗して悪臭を放つ沼地とくる」。 Aragorn: That is our road. I suggest you take some rest and recover your strength, Master Dwarf. そこを通る/今夜は休んで鋭気を養え Gimli: Recover my... phfwahh... バカにするな(※) ※台詞直訳「鋭気を養えだと!」。単語だけなら意訳の範疇ではあるが。 Legolas: We should leave now. すぐに出発を Aragorn: No. Orcs patrol the eastern shore. We must wait for the cover of darkness. オークが岸を見張ってる/夜まで待とう Legolas: It is not the eastern shore that worries me. A shadow and a threat has been growing in my mind. Something draws near. I can feel it. 僕の心配はオークじゃない/ 胸を不吉な影がよぎる 危険が迫ってる 感じるんだ Gimli: Recover strength... (To Pippin) Pay no heed to that, young hobbit. ★★あんな奴は無視しろ ★★ 台詞「私は疲れてなど……。真に受けてはならんぞ、お若いの」。字幕はやりとり(会話)として 意味不明なので、「誤訳」として記載する。 Merry: Where's Frodo? フロドは? Boromir: None of us should wander alone. You least of all. So much depends on you. Frodo? I know why you seek solitude. You suffer. I see it day by day. Are you sure you do not suffer needlessly? There are other ways, Frodo. Other paths that we might take. 一人で歩きまわるな/とりわけ君は─/気をつけろ/(以下★★) フロド?/一人になりたいのか? 日夜心をさいなまれて?/ あまりに考えすぎるな/道は他にもある/心配するな ★★ 字面では完全に誤訳だが、文意としても……ここまできたら誤訳か。 台詞「一人で歩き回ってはならんぞ。とりわけあんたは。私はなぜあんたが一人になりたいのか 知っている。 あんたは苦しんでいる。 私は毎日それを見ている。 あんたはそんなに苦しむ必要は ない。他にも道はあるぞ。フロドよ。他の方法があるはずだ」。 「心配するな」は創作字幕。 Frodo: I know what you would say, and it would seem like wisdom, but for the warning in my heart. 親切な言葉に聞こえるけど/僕には警告に思える(※) ※台詞「おっしゃりたいことはわかっているつもりです。ぼくの心に警告するものがなかったら、それはき っと賢明に聞こえたでしょう」。 煮詰めすぎて逆になっているのか、「but for」の「for」落ちか。 Boromir: Warning? Against what? We're all afraid, Frodo, but to let that fear drive us to destroy what hope we have. Don't you see, it's madness. 警告? /何を警戒している/(以下★★★) 皆不安は同じさ/恐怖に負けたら全て水の泡だ/ それを忘れるな ★★★ 大誤訳。 台詞「警告だと? 何に対しての? 我らは臆病すぎるぞ、フロドよ、恐怖にかられて 我らの持つわずかな希望を葬るなどと。あんたもわかってはおらぬぞ。そんなことは狂気の沙汰だ」。 「恐怖に負けたらすべて水の泡」ではなく、「恐怖に負けて指輪を葬るなど狂気の沙汰だ」と言ってい る箇所である。ボロミアが映画前半の会議から一貫して同じ考えでいた(からこそ指輪に誘惑された) ことが解る。 Frodo: There is no other way. 道は一つだ Boromir: I ask only for the strength to defend my people! If you would but lend me the ring. ★★俺は自分の種族を守りたい/指輪を貸せ ★★ またしても「種族」誤訳。何度でも繰り返すが、ボロミアにとって「our people」「my people」は ゴンドールの民のみを指している。 Frodo: No! Boromir: Why do you recoil? I am no thief! 借りるだけだ! Frodo: You are not yourself! ★★★嘘をつくな ★★★ 「ゴンドールの王が戻られた」に次ぐ作品破壊。「あなたは正気ではありません」=「ボロミアは 指輪の影響を受けているとフロドは認識している」台詞なのに、まったく逆になっている。 映画館で見たときには多くのファンが目を疑った。しかし現実の字幕である。 吹き替え「吹き替え:ボロミアじゃなくなってる!」。 Boromir: What chance do you think you have? They will find you. They will take the ring. And you will beg for death before the end! You fool! It is not yours save by unhappy chance. It could have been mine. It should be mine! Give it to me! Give me the ring! おまえが任務を果たす?/ 奴らに見つかり指輪を奪われる/死ぬ方がましな苦しみを味わう/ 愚か者!/おまえよりも俺が手にすべき指輪だ!/ よこせ Frodo: No! Boromir: I see your mind!! You will take the ring to Sauron! You will betray us! You go to your death! And the death of us all! Curse you and all the Halflings! 読めたぞ サウロンに指輪を渡す気だな?/ 裏切り者!/俺たちまで死に導く気か!/ 呪われろ! 呪われろホビットども! Boromir: Frodo? Frodo. I must find him. Please, Frodo フロド?/ フロド / 許してくれ お願いだ Boromir: Frodo, I'm sorry! Frodo! Aragorn: Frodo? フロド? Frodo: It has taken Boromir. ★★★ボロミアが… ★★★ 「ボロミアが指輪に捕らわれた」とはっきり日本語で表現しないと、以降の場面が著しく誤解を招く。 正直言って、前述の「嘘をつくな」以降の字幕は、観客を混乱させ、主題を誤解させる 酷い出来である。 吹き替え「ボロミアが指輪に」。 Aragorn: Where is the ring? 指輪は? Frodo: Stay away! 来るな(※) ※吹き替え「来ないで」。 Aragorn: Frodo! I swore to protect you. フロド/私は味方だ Frodo: Can you protect me from yourself?! Would you destroy it? ★★★これは要らない?/★葬れるか? ★★★ 台詞「あなた自身から護れるんですか?」。要る要らないの話ではない。 「指輪の誘惑」という重要な要素が、完璧に削除されている。 吹き替え「指輪の誘惑に勝てますか?」。意訳としても吹き替えに軍配。 ★ 前述の「同一人物なのに口調が突然おかしい」の、またしても例。 吹き替え「これを葬れる?」。 (※ここで指輪が「アラゴルン……エレスサール……」と、アラゴルンに囁いている。) Aragorn: I would have gone with you to the end. Into the very fires of Mordor. できれば君と運命をともに─ /モルドールの火口までと─★★★ ★★★ 「わたしは最後まで―滅びの山までついていくつもりだった」と明記せねばならない台詞。 この前のやりとりが壊滅的であるために、この「できれば」を目にした観客の多くは 「アラゴルンはこのままフロドについていくつもりだった」と一瞬誤解し、この直後の場面で 大混乱をおこし、「消化不良の妙な映画」という感想を持った。 字幕が観賞の助けにならず、映画の邪魔をしている。 吹き替え「最後までついてゆきたかった モルドールの火の山まで」。 Frodo: I know. Look after the others. Especially Sam. He will not understand. わかっている/皆を頼むよ/サムは納得しないだろうな(※) ※アラゴルンに対等口調。非常に違和感。他の字幕にくらべたらまだましなことだが。 吹き替え「わかってます みんなを頼みます 特にサムを 怒るだろうな」。 Aragorn: Go, Frodo. Run. RUN! 早く行け! 走れ! 走れ! Sam: Mr Frodo! フロド様! Uruk-Hai: Find the Halflings! Find the Halflings! ホビットを逃がすな! ホビットをつかまえろ! Aragorn: Elendil! ★★突っ込め! ★★ 自らが先祖の名「エレンディル」(原作で彼はこの掛け声をよく使用する。おそらく第2・3部の 合戦場面でも再々出てくる、アラゴルンの誇りを示す重要な要素)を叫んで突入する場面で、 後続も居ないのに「突っ込め!」と表示されるため、場面が滑稽になってしまった。 Legolas: Aragorn! Go! ★★やっつけろ! ★★ アラゴルンに「(ここは食い止める)行け!」と声を掛けている場面が、何故か「やっつけろ!」と 自分への呼びかけのようになってしまっている。「突っ込め」との相乗効果で、大変な上滑り感がある。 Merry: Frodo! Pippin: Hide here, quick! Come on! こっちへ来い/早く! Pippin: What's he doing? 何している? Merry: He's leaving! 一人で行く気だ Pippin: NO! 行くな!(※) ※個人的に「駄目だ!」のほうが自然。 と思えば吹き替えは「駄目だ!」。是非吹き替え脚本の平田氏に字幕も作成していただきたい。 Merry: Pippin. Merry: Run, Frodo. Go! フロド 行け! Merry: Hey, hey you! Over here! おいお前!/こっちだよ! Pippin: Over here! Over here! This way! こっちだ! Pippin: It's working! やった! Merry: I know it's working! Run! 走れ! Legolas: The horn of Gondor. ★★ゴンドールの合図だ ★★ 第2部でボロミアの弟ファラミアが兄の遺骸を認識する重要な要素「角笛」が、何故か 「合図」という単語に置き換えられている。ここまで伏線を刈り込むのには、何か深い意図が あるのだろうかとさえ疑いたくなる。 吹き替え「ゴンドールの角笛!」。 Aragorn: Boromir! ボロミアだ Boromir: They took the little ones. ホビット達が(※) ※「小さい人が攫われた」。 Aragorn: Stay still. 落ちつけ(※) ※「動くな」。 Boromir: Frodo. Where is Frodo. フロドはどこに Aragorn: I let Frodo go. ★★彼は発った ★★ 台詞「彼は行かせた」。「I let 」と次の「I could not. 」が呼応していることが、 この字幕ではわからない。 ここは吹き替えも「I let 」を生かしていない。 Boromir: Then you did what I could not. I tried to take the ring from him. ★★★恥かしい/指輪を取ろうとした ★★★ 台詞「では、あたなはわたしの成しえぬことをした」。ボロミアが最後に「My king」を口にする 端緒となる重要なやりとり。 字幕代案「俺は出来なかった/指輪を奪おうとした」(たけうち氏訳) 。 つまり、「指輪を葬るなど狂気の沙汰だ」と考えており、「自分はフロドをモルドールへ 発たせることが出来なかった」、しかし「アラゴルンにはそれが出来た」(指輪の誘惑を退けたのだ) という場面である。 字幕では「一時の誘惑にかられて指輪を奪おうとした短慮な悪人」というボロミア像が 出来上がっており、到底看過しがたい。 Aragorn: The ring is beyond our reach now. ★★指輪は遠くへ行った ★★ 「指輪は我らの手を離れた」。ただ遠くへ行ったのではなく、台詞「いまや指輪は我らの 手の及ばぬところにある」。 Boromir: Forgive me. I did not see it. I have failed you all. 許してくれ/誘惑に負けた/愚かだった Aragorn: No, Boromir. You fought bravely. You have kept your honour. 君は戦った/勇敢にね/名誉を汚さなかった Boromir: Leave it! It is over. The world of men will fall. And all will come to darkness. My city to ruin. かまうな/おしまいだ/ おしまいだ/人間の世界も/悪がこの世を支配し/我々の都は滅びる Aragorn: I do not know what strength is in my blood. But I swear to you, I will not let the White City fall. Nor our people fail. ★★この血に流れる力にかけて/私は我らの都を守り/(※) ★★★人間を滅亡から救(お)う ★★ 英文→日本語として、意訳ではなく「創作」段階まできている。ボロミアの「My king」を 引き出す最大の要素、「そなたに誓う」がとばされた上、圧縮しすぎて日本語としての整合性が 消滅している。 ★★★ 脚本をしっかり読めばわかる超誤訳。「our people」は「人間」ではなく「ゴンドールの民」。 以上吹き替え「私の血にどんな力があるか知らんが その血に誓う 白い都は私が守る 我らの民も」。 吹き替えは原作既読者の監修が入っていると推測される。 Boromir: Our people. Our people. 我らが種族……/★★★人間達 ★★★ 本作品白眉の大誤訳。ここはアラゴルンの「But I swear to you, I will not let the White City fall. Nor our people fail. 」という発言を聞いて感動したボロミアが、「我らの民、我らの民と……」と 繰り返し言葉を噛みしめる箇所である。どこからこのような頓狂な訳語が出てきたのか、信じがたい。 Boromir: I would have followed you, my brother. My captain. My king. 心残りだ/我らが兄弟 我らが隊長 ★★我らが王よ ★★ 台詞「あなたに仕えたかった。我が同胞、我が将、我が王よ」。あくまで「我が王」。 ボロミアは忠誠を誓うしぐさをしている。 Aragorn: Be at peace, son of Gondor. 静かに眠れ/ゴンドールの息子よ Sam: Frodo! フロド! Frodo: I wish the ring had never come to me. I wish none of this had happened ★★-1僕が指輪を貰わなければ/★★-2こんな旅にも出ず── ★★1-2 指輪を「貰った」のではなく「私のところへ来た」、「こんなことが何も起こらなければ」と、 原意のままが必要な箇所。 残念ながら同様の誤訳は吹き替え版にもある。 Gandalf: So do all who live to see such times, but that is not for them to decide. All you have to decide is what to do with the time that is given to you. (以下★★★)つらい目にあうと皆そう思うが/迷っても遅い/それより大切なのは/今自分が何をすべきか を考えることだ ★★★ モリアの場面にも記載したが、大誤訳。この台詞は原作から引用されている。 「So do all who live to see such times」は原作者の戦争・従軍経験などをふまえた 「このような時代に生きるものは」という訳語が適切。しかし非常に重いこの単語が、 「つらい目にあうと」と矮小化されている。ここは吹き替え版でも同様の誤訳があり、残念。 字数考慮代案「こんな時代を生きる者は/そう願うが−/我らには決められん/決められるのは−/ 与えられた時代で/何をするかなのだ」(たけうち氏訳)。 Sam: Frodo, no!!! 待って!/フロド/フロド様! Frodo: No, Sam. Go back, Sam. I'm going to Mordor alone. 来るな!/戻れ!/一人で行く! Sam: Of course you are. And I'm coming with you!! ★★いいえ/俺も行きます! ★★ 「Of course you are. 」で、サムはフロドの決意を知っていた意が伝えられている。 日本語の「いいえ」と表記すると、誤訳となる。代案として、「そうです/もちろん/はい」 などが上げられる。 吹き替え「わかってます! だから俺も行く!」。 Frodo: You can't swim. Sam! SAM! 泳げないだろ?/サム!/サム! Sam: I made a promise, Mr Frodo. A promise. Don't you leave him Samwise Gamgee. And I don't mean to. I don't mean to. 誓いを立てました/ あなたから決して離れないと/それを守ります/何があろうと(※) ※「ガンダルフと」を挿入した吹き替えに軍配。 吹き替え「ガンダルフと約束しました あなたから どんなことがあっても離れないって  あなたを守る 離れません」。 Frodo: Oh, Sam. Come on, then. サム!/行こう Legolas: Hurry! Frodo and Sam have reached the eastern shore. 追おう/フロドとサム 東の岸へ/ Legolas: You mean not to follow them. 追わないのか?★★ ★★ 台詞、吹き替えとも「追わないつもりだな?」。 Aragorn: Frodo's fate is no longer in our hands. フロドは彼の運命に従った(※) ※台詞「フロドの運命は我らの手を放れた」。許容範囲とはいえるが。 Gimli: Then it has all been in vain. The fellowship has failed. 旅の仲間はバラバラだ/苦労は無駄だったわけだ(※) ※台詞「すべては無駄になったわけか。旅の仲間は崩壊だ」。 吹き替え「すべてが無駄だったってわけかよ/旅の仲間は解散か」。 Aragorn: Not if we hold true to each other. ★★★まだ友情があるだろう ★★★ この一語に失笑し、この映画を小馬鹿にした観客が大量にいる。 台詞「われらに信義あるうちは無駄ではない」。 Aragorn: We will not abandon Merry and Pippin to torment and death. Not while we have strength left. Leave all that can be spared behind. We travel light. Let's hunt some orc. メリーとピピンを救ってやろう/その力があるかぎり/(以下※) ★★いらぬものは捨てよう/身一つになってオークをやっつけよう ★★ この「やっつけよう」と前述「友情があるだろう」で、「まるでジャンプアニメだな」 「なんだ、安っぽいRPGか」という感想を抱いた観客も多い模様。 ※かなり嘘、というか意訳。台詞「メリーとピピンを拷問と死から救わなければ。 我らに力のある限り。必要のないものは置いてゆくぞ。身軽に旅をするのだ。オーク鬼どもを狩りに」。 吹き替え「メリーとピピンを奴らの手から救う仕事がある 解散するのはその先だ  要らないものは捨てていけ 身軽になって オーク狩りを始めるぞ」。 Gimlil: YEAH!!! ■エミン・ムイル----------------------- Frodo: Mordor. I hope the others find a safer road. モルドールだ/後の連中は無事かな(※) ※「連中」というのもフロドの口調(他の部分の台詞回し)と整合性がない。 台詞「皆が安全な道を見つけてくれていればいいけれど」。 吹き替え「モルドールだ みんな無事だといいけど」。 Sam: Strider will look after them. アラゴルンがいます(※) ※台詞は「Strider」。(サムは最後の最後まで「アラゴルン」とは呼ばない) Frodo: I don't suppose we'll ever see them again. もう会えないだろうな Sam: We may yet, Mr Frodo. We may. いいえ、あえますよ/ きっと Frodo: Sam. I'm glad you're with me. サム/お前がいて良かった [本編終了] ----------------------------------- ++ 「二つの塔」フッテージ日本版 ++ ----------------------------------- 2003 SPRING 2003年 春 THE JOURNEY CONTINUES 彼らの旅は続く IN THE TWO TOWERS ”二つの塔”をお楽しみに Gandalf's Voice: The veiling shadow that glowers in the East takes shape. 東から立ち上る暗黒の影が/一つの形となった(※) ※代案「東方を覆う影が形を成す」(たけうち氏訳)。 There is a Union now between the Two Towers, Orthanc, and Barad-dur. そして"オルサンク"と"バラド=ドゥア" 二つの塔が結ばれた(※) ※代案「二つの塔が結びついた/オルサンクとバラド=ドゥアだ」(たけうち氏訳)。 これはガンダルフの「台詞」でもある。 Frodo: It's the ring, It's getting heavier. 指輪が/重くなった Galadriel: There is nothing we can do for Frodo. The quest will claim his life. ★★フロドに委(ゆだ)ねるしかない/使命が彼を苛むでしょう ★★ 台詞「フロドの為にわれらのできることはなにひとつありません。この使命は彼の命を奪うでしょう」。 何故こんなに逸脱した訳に? 代案「フロドは助けられません/使命が彼を滅ぼすでしょう」(たけうち氏訳)。 Gandalf : Sauron is not so mighty, yet that he is above fear. He fears you, Aragorn. He fears what you may become. ★★サウロンはまだ恐れるに足らぬ/君を恐れている/アラゴルン/―君の王としての出現を ★★ 台詞「サウロンは恐れを超越するほど強くなってはおらぬ。おぬしを恐れておるのだ。 おぬしの成ろうとしているものを」。 意訳ならばやりすぎ(「まだ恐れるに足らぬ」ならば指輪を捨てに行くこともない)、 聴き取りに失敗しているなら問題外。 代案「サウロンも/恐れは知っておる/お前を恐れているのだ/お前がなるだろう存在を」 (たけうち氏訳)。 Saruman: So Gandalf Greyhame thinks he has found the lost king of Gondor. It matters not. The world of men shall fall. ガンダルフが見つけた?/★★★失われたゴンドール王国を?/★★だからなんだ/人間の世界は滅びる ★★★ 「king of」を「kingdom」と聞き違えたとしか思えない。話にならない上、物語全部を破壊している。 ★★ 「だからなんだとは何だ」と言いたくなるほど酷い。 代案「ガンダルフが見つけたか/ゴンドールの失われた王を/無駄だ/人の世は滅びる」(たけうち氏訳)。 Theoden: Where is the horse and the rider? ★★馬を駆る騎手はどこに? ★★ 「馬を駆る騎手は」ではなく「馬」と「乗り手」。(「頭痛が痛い」的字幕) Where is the horn that was blowing? ★★―天に響くラッパの音は― ★★ この詩は原作に出てくる「青年王エオルの詩」の一部だが、何故か「角笛」という平易な単語が 「ラッパ」になっている。 第2部では「角笛城」(the Hornburg)での大合戦場面が大きな要素となる。「ラッパ」という 単語を当てる理由は、該当単語が「ラッパ城」とでもならぬ限り(!)、まったくないはず。 They have passed like rain on the mountain, ★★それは山を濡らすひとときの雨 ★★ 「それ」は「馬や乗り手や角笛の音」ですが。台詞「山に降る驟雨のように去っていった」。 「馬や乗り手や角笛の音」が山を濡らすのだろうか。 Like wind in the meadow 草原を揺らす風 The days come down in the west ★★輝く太陽は西に傾き ★★ 「輝く太陽が西へ沈んだ」わけではなく、「日々は西の方に去った」。 Behind the hills into shadow... −山の向こうに落ち/暗黒に沈む この詩については、たけうち氏より字数を考慮した「予告字幕私訳」の引用許可を得たので、添付する。 この詩は第2部でローハンを表現する基調音として使用されると推測され、今回の字幕の不備から本編での 大失態を憂慮するためである。 ---------------- Where is the horse and the rider? かの馬と乗り手は いずこ? Where is the horn that was blowing? 響きし角笛は いずこ? They have passed like rain on the mountain, Like wind in the meadow; 過ぎ行きぬ/山に降る雨のごとく/ 草原の風のごとく The days have gone down in the west (上記は原作。映画では「The days come down in the west 」の模様) Behind the hills into shadow... 去りし日々は西の方(かた)に/ 丘の向こうー/影の中に ---------------- Gollum: They're thieves. They're filthy little thieves, they stole my precious, and we wants it.. 盗人のチビども ぜったい許さんぞ/おれの愛しいもの 必ず取り戻してやる [フッテージここまで] (以上、全本編・予告字幕終了。但し予告編導入と同時に挿入歌にも歌詞字幕がつき、その「歌詞をねじ曲 げた作為的な字幕」が指摘されている。歌詞分量が多く署名送付に間に合わないため、今回は指摘文の同梱 を見送った) 本文ここまで----------------------- [文責者氏名] 送付した書面に記載。 http://gollumone.tripod.co.jp/ 作成・管理者(ハンドル:サックビル=バギンズ) 2004/06/20注>※上URLについては移転のため変更されています。 2004/06/20注>現在のURL→http://bah-humbug.biz:8080/phiz/index.php